初仕事
2人は店から出ると、今後の方針について話し合った。
「じゃあ、チビクリ、これから俺はどうしたらいいんだ? 勇者っつったら、魔王を倒さねーとだよな?」
「チビクリ、じゃないです。 まっちーです。 何か、魔王に関しては知ってますか?」
兵士は、さぁ、とお手上げのジェスチャーをした。
「それはお前が教えてくれるんじゃないのか?」
このゲームのクリア条件は妖精にも分からなかったが、一番濃厚な線として、魔王の討伐が思い浮かんだ。
しかし、今は情報がない。
「クエストをこなしつつ、魔王の情報を探るしかありませんね。 まずは兵士を廃業して、勇者稼業を始めましょう」
妖精の提案で、兵士は城に向かい、辞表を出した。
ちなみに、彼の名前はタナカだ。
タナカは、自分の仕事に疑問を持っていた。
言ってしまえば、ヒーローのような存在になりたかったのだが、毎日退屈な街の警護ばかりで、今回の話はまさにタナカの待ち望んでいたものだった。
城に到着すると、隊長に辞表を渡す。
「……辞めるのか。 剣の筋は悪くなかったんだけどなぁ」
「隊長、実は俺、勇者なんっすよ」
「……そっかぁ、頑張れよ」
タナカの家に到着すると、早速準備に取りかかる。
家の前に、「勇者始めました。 魔物の討伐など承ります」 と書かれた看板を置いた。
「こんな感じか?」
「これでしばらく待ってみましょう」
家の中で待っていると、早速依頼が入った。
妖精が扉を開けると、そこにいたのは中年の男であった。
「どうぞ、入ってください」
中に通し、ちゃぶ台に向かい合う。
「魔物の討伐依頼ですか? 相手はゴーレム? それともまさかドラゴン!?」
「なーに言ってんだよ。 害虫駆除の依頼だよ。 うちにスズメバチが住み着いちまったんだ」
「す、スズメバチ?」