表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖精の腕力賢者  作者: oga
2/25

ネズミ

 いつまでもマシュマロを食べていたい妖精であったが、それよりも優先すべきは例のプリンであった。

しかし、このゲームの攻略条件が分からないので、とりあえずは村で情報収集をすることにした。

ところが……


「あの、このゲームはどうしたらクリアになるのですか?」


「ひ、ヒイッ」


 村人はみな怯えて話を聞いてくれず、しかも子供が暴言を吐きながらマシュマロを投げつけて来た。


「ば、化け物めっ!」


 妖精はそのマシュマロを口でキャッチした。


「ひ、ヒイッ」


「いや、そこ、驚くとこじゃないですから。 でも、仕方ないです。 もっと別な街で情報収集しないと……  あと、この力はむやみに人に見せない方が良いですね」


 妖精は村から出て、辺りを見渡した。

周りは草原地帯で、遥か向こうに山、森、そして高い塔が見える。


「あの塔を目指すことにしますか。 あそこなら、街がありそうです」

 

 妖精は塔を目指し、歩き始めた。

この世界のマップはかなり広大で、どこまでも進んでいけるオープンワールドであった。

通常のプレイならのんびりと自然を感じながら歩くところだが、妖精には時間がない。


「……私にしかできない移動法ですが」


 妖精は自分の服を掴み、腕の力を使って自分自信を投げ飛ばした。

ビュウン! と物凄いスピードで空を飛ぶ。


「これは快適ですね! この移動法、「瞬☆歩☆」 と名付けましょう」


 あっという間に塔の前に到着した。

ふわり、と地面に降り立つと、そこは予想した通り、街であった。

この高い塔は電波塔で、テレビやラジオを配信するためのものらしい。

街はかなり栄えており、様々な人が道を歩いている。


「にぎやかですね。 情報収集と言えば、酒場。 私はお酒が飲めないので、代わりにファミレスで情報を集めましょう」


 妖精の目的は、情報よりもどちらかといえばパフェであった。

ファミレスのパフェはおいしい。

妖精は適当なファミレスに入っていった。


「お客様、一名ですね。 こちらの席へ」


 カウンターに座ると、イチゴてんこ盛りパフェを注文した。


「この待っている時間が至福です。 興奮してパフェのグラスを握りつぶさないようにしないと」


 しばらく待っていると、パフェが運ばれてきた。

ゴクリ、と生唾を飲む。


「では、いっただっき……」


「オイオイオーイ! 何だこの店は! ハンバーグの中からネズミが出てきやがったぞ!」


 妖精は眉をひそめた。

今からパフェにありつこうという時に、そんな気色の悪い話を聞いてしまったからだ。

しかし、騒ぎは大きくなった。


「い、いてえっ! こいつっ、やりやがったな!」


 ネズミに嚙みつかれたらしい。

更に、悲鳴が聞こえる。


「キャアアアーーーーーーッ」


 もはや、お祭り騒ぎである。

パフェどころではない。

妖精はパフェに意識を集中していたが、とうとう我慢できずに、クレームをつけに行こうとした。


「うるさいですよっ! って、こ、これは!?」


 なんと、ファミレスの人間はみな巨大なネズミへと姿を変えていた。

これはただ事ではない、そう思った妖精は、せめて一口だけパフェを食べて逃げよう、そう思った。

しかし、数匹のネズミがこちらに駆け出してくる。


「くっ」


 イチゴを食べるのが先か、ネズミの攻撃を食らうのが先か、その時、剣が閃いた。


「ギャアーッ!」


「逃げるんだ!」


 そこには、剣を抜いた若い兵士がいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ