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69 ごちそうさま


鍋いっぱいのおでんは全てなくなりました。ビックリです。


「「「ごちそうさまでした」」」


食べ終わるといつものように手を合わせて挨拶します。初めは戸惑っていたクリリも一緒にしています。


「お疲れ様です。また明日です」


クリリが手袋をして帰りの挨拶をします。するといつものようにタケルが、


「送って行くよ」


と言います。


「ううん。大丈夫」


そしていつものようにクリリが断ってます。クリリはどうやら1人で帰りたいようです。

数秒考えたタケルが再び口を開きます。


「おまえ、ちゃんと帰ってるのか?」


「帰ってるよ。孤児院しか帰るとこないです」


戸惑ったようにクリリが答えます。変なこと聞くタケルです。どうしたのでしょうか?


「そういう事じゃなくて、その姿で帰ってるのかって事。どっかで着替えてるのか?」


サッとクリリの顔色が変わりました。えー?どういうこと?


「つけてたの?」


クリリがタケルに聞きます。


「いや、俺はつけてない。夜遅くに帰るのはどう考えても危ないから、魔法を使って俺の分身みたいなのに送らせてたんだが、いつも孤児院の近くでしばらく止まってるからそうじゃないかと思っただけだ。でもそれで間違いないようだな」


「え? どういうこと? 着替えてるって?」


私が聞いてもクリリは俯いてます。代わりにタケルが話してくれました。


「おそらくだが、自分だけ綺麗な服とか腕時計とかしてるのを見られたくないって事だろう。孤児院って所は集団生活なんだから、やっかみとかありそうだしな」


どうやら私の考えが足りなかったようです。かといって全員に綺麗な服とかあたえるのも変です。あくまでもクリリの服は制服なんですから。


「クリリ、おまえ俺の所に一緒に住むか? 部屋はいっぱい空いてるからいいぞ。ご飯はここで食べればいいし。今もほとんどここで食べてるから今さらだろ」


タケルがいいこと言ってるけどこれは見過ごせません。


「待ってよ。それだったらここで暮らせばいいでしょ。クリリはうちの従業員なんだから」


私が胸を張って言ってるのにタケルは呆れたように見てます。クリリまで残念な人を見るような目です。どうしてでしょう。


「クリリどうする? 俺の話断ったらここで暮らすことになるぞ?」


クリリは少し考えた後タケルに


「よろしくお願いします。でも本当に家賃とか払えないよ」


と答えてます。クリリはタケルの所に住むことにしたようです。私のところでないのは残念ですがクリリ的には良いことでしょう。


「ああ、それなら家賃の代わりにリバーシの相手をしてくれたらいいよ」


クリリはリバーシ強いからタケルの相手にピッタリです。タケルは私がリバーシに誘っても弱い奴とはやりたくないとか言いますからね。














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