6 商業ギルド3
「はい。こちらがあなたのギルドカードになります」
「ありがとうございます」
これで市で商品をを売れるのね。なんとか生活していけそう。
「それでナナミさんは市で売りたいということでしたが、店を持ちませんか?」
ショルトさんの話に驚きます。いきなり店を持つ話が出るとは思いません。
「店を持つには資金がかかると思うのですが、私にはその資金がありません。市で稼ぐことができたらいずれは持つこともかんがえていますが・・・」
私は無理ですよと首を振った。
「そうですね。1から店を買うにはお金がかかりますからね。でも今掘り出し物があるんですよ。この近くで雑貨屋をしていたリズさんが王都の方と結婚して王都に店を出したんです。この街の店を売る話も出たんですが、思い出が残ってるので売りたくないということで、借りてくれる人を探してるんです。ただ条件が厳しくてなかなかあてはまる人がいなかったんですが、ナナミさんならちょうどいいと思うんですよ」
「条件ですか?」
「女性の方に借りていただきたいということなんですが、これがなかなか難しいんです。夫婦とか男性で店を持つ方は多いんですが女性が店を持つというのはまだまだあまりいません。それとあまり店の中を変えないでほしいということなんです。飲食店だと色々変えるようになりますからね。ナナミさんが売るものだとあまり変えなくていいと思うんです。ほとんど手を入れなくても店が開けるからナナミさんもそれほど資金の心配はいりませんよ」
なるほど確かにいい話だ。こんないい話は二度とないだろう。ここは運に任せたほうがいいのかもしれない。女神さまのおかげということもあるしね。
「初期費用はどの位かかりますか?」
ショルトさんはにっこり微笑んで
「初期費用は家賃一ヶ月分の支払いだけで結構です。家賃は月金貨10枚になります」
と言った。金貨10枚が安いのかどうかわからないが、一泊が銀貨4枚のホテルに泊まってることから考えるとやすい気もする。
「そうそう言い忘れてましたが、二階が住居になっていますからアパート代もかかりません。とってもおとくですよ」
ショルトさんの悪魔のささやきに私は頭を下げる。
「よろしくお願いします」