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53 コッコウ鳥のシチュー



コッコウ鳥のシチューとはいうものの肉だけでは物足りないので、玉ねぎとポテポテも入れてます。コーンの缶詰があったので、コーンも追加した。

マカロニソーセージの簡単サラダも添えてます。


「どうぞ、賄いなんで大したものではありませんが」


タケルの隣に座った旅姿をした男の人に声をかけた。初めて見た時のタケルのように涙が浮かんでます。これは、どうやら私たちと同じ日本人なのかな?


「俺のシチューを分けてやるんだから心して食えよ、ユウヤ」


タケルはドヤ顔です。ユウヤって、やっぱり日本人ですね。


「シチュー....もう、食べれない...と..おもっでまじた。お...お米まで...」


何を言ってるのか、かろうじてわかるけどみんな大げさな気がします。


「冷める前に食べてください。温かいうちのほうが美味しいですよ」


声をかけてから手を合わせて


「「「いただきます」」」


と三人で言ってから食べ始めました。

コッコウ鳥の美味しさを際立たせるために大きめにカットして作ってます。アツアツのクリームシチューをふうふう言いながら三人で食べました。

食べ終わった途端にバタンとユウヤという人が倒れました。

ビックリして立ち上がった私にタケルは大丈夫だと言ってユウヤにどこからか出してきた毛布のようなものをかけてあげてます。


「こいつは俺より長くここで暮らしてるんだ。10年前だって話だけど。それからずっと旅をしながら暮らしてる」


「タケルみたいに日本の食べ物とか探してたの?」


「いや、ユウヤは仕事で旅をしてるんだ。ユウヤはこの世界に来た時冒険者で稼ごうとしたと言ってた。知らない世界で稼ぐ方法なんて限られてるからな」


そうですね。いきなり着の身着のまま連れてこられても生きていくには稼がないといけない。そこで立ち止まって考えることすらしてる暇はないのだろう。私に百均がなかったらなにをしてたんだろう。やっぱり冒険者になるしかない気がする。


「多少魔法が使えても、ユウヤには向いてなかったらしい。魔物を殺すのが耐えられなくなったと言ってた。それでも商売ができるくらいは稼いでから、冒険者を引退したんだ。今はステータスを使って荷物を運ぶ依頼を受けて生活してる。俺たちが持ってるステータスは無限に入るんじゃないかっていうくらい大きなマジックボックスがついてるから、それを利用して街から街へ宅配の仕事をしてるってわけさ」


「それで旅をしてるんですね」


ステータスには私の場合はアイテム鞄がついててその中に物を入れたりしてるけど、他の人みたいに直接ステータスと言って物を入れたり出したりしてるから、どうなのかなって思ってたけどマジックボックスがあるのね。それを利用して宅配するなんて賢い気がする。全然思いつかなかったよ。容量が普通は少ないから、商売にならないんだろうけど、異世界人である私たちは魔力が強いから容量も大きいそうです。


「で、ナナミにお願いがあるんだ」


タケルがユウヤの為にしてほしいことがあると言ってきた。

きっとあれですね。その位大丈夫ですよ。

タケルもいいとこありますね。友達の為に仕事をお願いしてくるなんて。


「いいですよ。宅配の仕事をユウヤさんに頼むんですね」


私が胸を張って答えるとタケルは首を振った。え?違うんですか?


「マジックショップナナミの2号店を作って欲しいんだ」


「いいですよ〜って。えー。2号店作るんですか?」








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