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44 セルビアナ国ウータイ②



「ごちそうさまでした」


「美味しかっただろう?」


「はい。このウインナー、プリップリでとても美味しいです」


とても美味しいモーニングを食べて後はあれ欲しいですね。


「「コーヒー飲みたくなる」」


重なりましたね〜。ではコーヒー出しましょう。缶コーヒーですけど。


コーヒーを出すと2つともタケルに渡す。温めてもらうためです。タケルも慣れたもので、温めると返してくれます。


「うん。美味しい」


「そうだね。食後のコーヒーは美味しいよ」


2人でコーヒーを飲んでる間にお客さんは減っていきました。そろそろ朝の閉店時間になるようです。宿屋が主なので、朝の食事と夜の食事だけ開けてる食堂だそうです。夜も20時くらいには閉めるそうです。飲み屋とは違うようです。


「あれ。それってコーヒーだよね。どうしてここにあるの?」


「ヨウジさん、久しぶりです。この女性は日本から最近連れてこられたナナミです。彼女にコーヒー出してもらったんですよ」


タケルは簡単に説明してくれた。ヨウジさんは驚いたような顔で私を見ている。コーヒーに驚いてるのか、日本からというのに驚いたのかよくわかりません。

ヨウジさんはクマのような人です。太ってるというわけではありません。大きくて頼れる感じの黒髪に黒い目の日本人です。年齢は30代前半でしょうか?


「俺は大阪から来た南ヨウジだ。ヨウジと呼んでくれ。もうここに来て6年になる。君たちの先輩かな」


大阪弁じゃありません。翻訳されてるからでしょうか?


「あっ。今大阪弁じゃないと思ったでしょう。初めは大阪弁で話してたんだけど、翻訳が上手くいかないらしくて誤解されることが多くて、今は標準語で話してるんですよ」


「それは大変ですね」


ヨウジさんは椅子に座って話し出した。どうやら彼もチート能力なしで、異世界に連れてこられたそうです。

私の時と違って、お金も宿屋もなくただこの街に放り出されたそうです。

あるのはステータスについてるアイテム鞄だけ。鞄の中に入っていたのはたこ焼き用の鉄板5枚とお好み焼きとかを焼く用の鉄板5枚。大テコ10に小テコ10。たこ焼きをひっくり返す時に使うピック10。あったのはこれだけだったそうです。

やっぱり私は恵まれていたようです。

行き倒れになりそうだった所を救ってくれたのが今の奥さんだったそうです。

料理人を募集していた紙を見て、頼んだものの駄目だろうと思っていたそうです。2日間歩き回ってるだけだったから、無精ひげも生えててかなり怪しい風貌だった、彼を雇った彼女は素晴らしい人です。


「苦労したんですね」


「そうだな。何しろ向こうで料理人だったわけじゃないからな。趣味で作っていたけどな。とはいうもののここには向こうにあったものがない。港が近いから塩が通常より安かったのだけが救いだったよ」


いつの間にか奥さんもヨウジさんの隣に座ってます。すごく仲が良さそうで羨ましいです。


「さっきの朝ごはんとっても美味しかったですよ。でもたこ焼きも食べたいですね。あれ?ここにもタコっているんですか?」


「タコに似たのがあるよ。小麦粉もあるしな。お好み焼きやたこ焼きも作ってはいるんだが、あれがないから今ひとつなんだ」


「あれですか?」


私が首を傾げると横からタケルが、


「そこでナナミに来てもらったんだよ。ほら昨日用意してもらっただろ。鞄から出して、出して」


あーなるほど、あれですね。確かにあれがないとたこ焼きになりません。


私は鞄の中から"あれ"を出してテーブルに並べた。

それを見たヨウジさんは言葉も出ないくらい驚いていた。









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