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310 ヴィジャイナ学院 5ージャックside

僕の名はジャック・ギュートン。下級貴族の末端にいるから、今回ヴィジャイナ学院に入学する音になって初めて王都に来ることになった。

 残念なことに早めに出発したにも関わらず、馬車の故障で入学式前日に到着したため王都の見学は出来なかった。まあ、当分はここで暮らすことになるのだからいくらでも見学できる。

 隣の部屋から食欲をそそる匂いが漂ってきた。

 隣は獣人だと聞いている。この部屋でいいのか何度も確認されたから間違いない。獣人の隣を嫌がる人が多いらしい。くさいにおいがうつるとか言うのは理由だった。

 僕は獣人の友達がいるからこの部屋で構わないとこの部屋にしてもらった。


「彼も大変だな」


 僕はこの学院について聞いたことがある。あくまでも学院にいるあいだは身分は関係ない事になっている。けれどやはり身分社会。全く関係ないなんてことはない。

 僕だって上級貴族には逆らえない。できれば上級貴族には関わりたくないと思っている。

 だが獣人には関わりたい。オオカミの獣人だって話だ。

 隣なんだし挨拶に行く事にした。決して美味しそうな匂いに釣られたわけではない。



 獣人の名はクリリ。

 彼の部屋でカレーライスという、見かけはアレだがとても美味しい食べ物に出会った。王都はやはり違うと思わされた。学食でもカレーライスは食べられると言う話なので今から楽しみだ。

 そして彼の部屋で見た珍しいものはカレーライスだけではなかった。

 鉛筆とノート。蛍光ペン。消しゴム。

 ペン先にインクをつけて書くのと違い、鉛筆だと間違えた時に消すことができるのだ。田舎には売っていなかった。ものすごく高いのかと思って尋ねると、それほどでもなかった。あの値段なら買うことができる。学院の売店でも買えるそうなので、絶対に買わなければ。

クリリは『マジックショップナナミ』で買ったと言っていた。

『マジックショップナナミ』のことは知っている。オールド眼鏡を売っている店だ。

 じいちゃんにオールド眼鏡を買ってから送ってほしいと頼まれている。本当は田舎から王都まで来る馬車はあの店がある街で止まる予定だったから、その時に買おうと思っていた。馬車の故障で予定が随分と狂った。

 売店にはオールド眼鏡は売っていないだろうから、じいちゃんには待ってもらわないといけないな。

 それにしても『マジックショップナナミ』は、オールド眼鏡だけを売っている店だと思っていた。まさか文房具やカレーライスまで売っているとは思わなかった。どうして王都で店を開かないのか不思議なくらいだ。王都で売ればもっと売れるだろうに。

 まあそんなことを言ってても仕方がない。ガイアという街までは遠いから休みの日に日帰りで行く事も出来ない。

 クリリが『マジックショップナナミ』に買い物に行くときに一緒に連れて行ってもらおう。少しは仲良くなれたようだし道案内くらいはしてくれるだろう。でもまだまだ先の話だ。明日が入学式だから、長い休みはずっと先だった。

 明日の朝起きれるか不安だ。クリリに起こしてくれるように頼めばよかったかもしれない。いや、これからは何でも一人でやらなければならないのだから、朝くらい一人で起きないと。

 クリリに頼みに行こうかと思ったが、早く寝れば起きれるだろうとさっさと寝ることにした。これが大きな間違いだった。旅で疲れていた僕は入学式に出席できなかった。入学式に出ていないことに気づいた両親によって起こされるまで、僕はぐっすりと眠っていた。

 クリリは寝坊した僕に大笑いして、その後目覚まし時計を貸してくれた。

 これはと手便利なもので、起きたい時間をセットするとその時間になると大きな音が鳴るのだ。これも『マジックショップナナミ』の商品らしい。僕はクリリとこの店に買い物に行くまで、ありがたく貸してもらうことにした。

 それ以来寝坊したことはない。

目覚まし時計は本当にスゴイ!!



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