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書籍二巻発売記念小話 ご褒美はアイスクリーム

二巻のネタバレがあります。

ご注意ください。


 クリリは孤児院に来ている。ナナミさんがダニに効く特効薬を教えてくれたからだ。

 なんと手巻き寿司やちらし寿司に使われている酢で簡単にダニが取れたのだ。クリリはティーグルに噛み付いていたダニが酢をつけただけでポロッと取れた時とても目を見張って驚いた。

 これはみんなに知らせなきゃいけないとどれだけ休みが待ち遠しかったことか。本当にナナミさんには驚かされてばっかりだよ。

「ダニがついてるやついるか?」

「どしたんだよクリリ」

「ふふん。簡単に取れるんだよ」

誇らしげにクリリが言うが、獣人はあまり乗り気ではない。

「放っておいたって取れるのに痛いのは嫌だよ」

 ウサギの獣人は首を振って嫌がる。無理に取ろうとして痛かったのを覚えているのだろう。

「それが放っておいたらよくないって聞いたんだ。身体がだるくなって病気になって死ぬ場合もあるそうだ。それにこの方法は痛くないから心配するな」

 クリリが説得するけどなかなか集まらない。

 するとナナミさんの声が聞こえた気がした。ナナミさんは今日は店番をしているからここにはいるはずがない。でも確かに聞こえたのだ。

『クリリ、昨日あげたアイスをご褒美にしたらいいよ』

 昨日、明日は孤児院に行くと言ったクリリにたくさんのアイスをくれたのだ。そうかこれをご褒美にすればいい。

「今日はナナミさんからアイスクリームをみんなにってもらっている。たくさんあるから余るんだけど、特別にダニを取った人にはご褒美で二個にするぞ〜〜」

 ゲンキンなものであれだけ嫌がっていたのに我先にとクリリの前に並んでいる。でも明らかに獣人じゃないものまで並んでいるのには笑える。みんなアイスクリームが好きだからな。 

 一番に並んでいたのはすごく嫌がっていたウサギの獣人のロンだ。ビクビクしながらもアイスクリームが欲しいから必死で我慢している。なんかいじめてるみたいな嫌な気分だ。

 ダニを見つけるとガーゼに酢を染み込ませてダニを包み込む。少しだけ待つとティーグルの時と一緒でポロッと取れた。それを見ていた誰もが驚愕の表情だ。

「凄いや。本当に痛くなかった」

 ロンは痛くなかったのにスルッと取れたのですごく嬉しそうに笑っている。それを見て二番目に並んでいた虎の獣人が寝転がる。早くやれと言ってるようだ。

 クリリはロンに約束のアイスクリームを渡すと次々と処理して行く。これなら思ったより早く終わりそうだ。早くナナミさんに知らせたかった。ティーグルだけじゃなく他の獣人でも使えたことを書けば、今まで売れることのなかった酢が注目を浴びて売れるようになるはずだ。

 アイスクリームを二つ食べた獣人は喜んでいるし、一つしか食べれなかった人族も自分のことのように喜んでいる。これでダニに悩まされることはなくなったのだ。


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