28 ガーディナー公爵家②―公爵家side
「トーマスです。入ります」
執事のヤンに案内されたトーマスが入ってくる。
トーマスは袋に入った荷物をたくさん持っていた。アンドリュー公爵はヤンを部屋から退出させると早速その荷物についてトーマスに聞いた。
「それは全部マジックショップナナミで買ったのものか?」
「はい。珍しいものを選んで買ってきました」
トーマスは袋をテーブルに置くと勧められるままに椅子に座って話し出した。
「正直驚きました。オールド眼鏡の噂は聞いておりましたが、他の商品も負けておりません。見たことも食べたこともない商品ばかりです。飴もこの国にありますがこの国のと違っていろいろな味があります。この国では飴はまだ庶民には出回ってません」
「砂糖がまだまだ高価だからな。飴にはたくさん砂糖を使うから、作っても庶民には高くて買えないだろう。」
アンドリューは自分でさえまだ食べたことがそれほどない飴を思って言う。
「その高価な飴が1袋5銅貨で売ってるのです。それも色々な味があります」
トーマスはそれだけ言うと袋の中から取り出した袋を開けて見せた。
「これが飴なのか?私が知ってる飴は棒が刺さっていたが.....」
「1個が一口サイズになっているのです。この袋を開けると飴が入ってます」
アンドリューとクリスは袋を開けて、飴を食べてみる。
「甘い! うん、これは飴です。前に食べたのと同じ味がします」
「うむ。飴に間違いないな。それも極上の味がする。これが5銅貨で売っているとは....」
トーマスは飴に驚いてる2人を見て、
「まだまだこれからですよ。驚くのは早いです」
次の商品を出しながら言った。
2時間後......。
「このカップラーメンすごく美味しかったです。お湯を入れて5分待つだけでこれだけ美味しいものが食べられるなんて。今まで冒険者たちが食べてた保存食の干した肉とかもう食べたくなくなると思いますよ」
クリスがラーメンを指して言う。
「このカンヅメも馬鹿にならんぞ。これも戦の保存食にも使える。カップ麺とカンヅメ。これは国王に報告せねば」
「タオルも今までにない品です。ジュースにマヨネーズ、驚くばかりです。どうです。凄いでしょう」
トーマスは自分のことのように自慢する。
「父上。これほどの商品を売るとなれば、狙われるということはないでしょうか? 女1人の店だと危ないのでは....」
クリスが心配そうに聞く。
「それについてはショルトに任せておる」
アンドリューもそれが一番心配なことだ。女神の申し子に何かあれば大変なことになる。しかもその娘はクリスを助けてくれた恩人でもある。これからもクリスに関係してくることも考えられる。気にしすぎるということはないだろう。
「トーマス帰ったばかりだがもう一度行ってもらいたい。今度はナナミの護衛がどうなってるか確認してきてくれ」
「はい。了解です」
「父上。行くのは明日からでしょう。だったら僕も付いて行っていいですか? ナナミにはオールド眼鏡のお礼が言いたいです」
アンドリューはふっと笑って
「いいだろう。一緒に行くといい」
と言った。
アンドリューはこれから会いに行かなければならない王になんと報告するべきか、考えることはたくさんあった。




