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284 ティーグルが治癒魔法?

ミル〇ーマジック? なんだそれは。百均の画面を眺めていたら、私も初めて見る商品があった。イチゴ味とバナナ味とチョコ味の三種類でストローの中に何か丸い粒の物がたくさん入っている。一袋に三本入ってたのが売っている。

 使い方はとても簡単で、牛乳を入れたコップにこのストローを入れて飲むだけ。


「いちご牛乳の味だ!」


 これはちょっと面白い。売れるかどうかはわからないけど買うことにした。売れなければ自分たちで飲めばいいもんね。

 試しにクリリに飲んでもらうと驚いていた。牛乳を飲むつもりでいたのに、なぜかいちご牛乳の味がして目を白黒させている。

 それを見ていたタケルも飲みたいというので、チョコ味にしてあげたら、すべて飲んだ後に、いちご味が飲みたいと言う。いちご牛乳って隠れファンが多いんだよね。


「こうやって見るとまだまだ全部の商品は把握できていないのよね。隠れた名品がまだまだあるってことよね」


 百均の商品はとにかく多い。それに新しい商品が次から次へと出てくるから、追いつかない。


「俺は百均にあまり行ったことがないから、何が置いてあるのかはさっぱりわからないな」


 タケルは珍しいことに百均で買い物をしたことが一度か二度しかないのだ。そのせいか新しい商品を並べていると、


「こんなものまで売っていたのか!」


といつも驚いている。


『カランコロン』


 私たちがのんびりいちご牛乳を飲んでいるとお客さんが入ってきた。


「「いらっしゃいませ~」」

「あーっ! やっぱりこの間の人だ」


 私の方を指さして大声で叫んだのはこの間、山で出会った青年だった。


「ど、どなたでしょう?」


 タケルにはこの間のことは内緒にしているのに、とてもやばい展開だ。それにしてもどうして私のことがわかったのだろう。


「はっはは。翼猫に乗ってる女の人って聞いてまわったらすぐにわかったよ」


 ティーグルは思っていたより有名だったようだ。逃げないほうがよかったかもしれない。


「ナナミ、この男は誰だ? 知ってるやつか?」


 タケルに聞かれた私は知らないことにする。名前も知らないのだから嘘ではない。


「し、知らなーい」

「ええ! 酷いじゃないですか? 山で会ったでしょう? ボンガー鳥を仕留めた思っていたら、緑の光がして…」

「緑の光?」


 ジロッとタケルに睨まれたので、目を逸らす。ティーグルの口さえ噤めば、ばれることはない。


「でも不思議なんですよ。あれだけ地面が真っ赤になっているのに、まったく怪我をしていないかのように飛んでました。あの緑の光って…治癒魔法じゃないかと思うんですよ。貴女は何か見ませんでした?」


 どうやら彼は私が魔法を使うのは見なかったようだ。


「あー、あれってボンガー鳥っていうのですか? 初めて見る大きな鳥でした」

「そうでしょう。あそこまで大きいのは、なかなか見かけないんですよ」

「へーそうなんですか。それは残念でしたね」


 タケルの視線をビシバシ感じる。でもそんなことは無視だ。とにかくこの青年には早く帰ってもらわないと。


「ああ、僕の名前はウルガ。冒険者をしている。この街には噂のカップ麺を食べに来たんだけど、翼猫に出会えるなんてついてるよ。まさかあの噂が本当だったなんて」


 なんか一人で盛り上がってるけど大丈夫? 


「噂ってなんだ?」


 タケルが尋ねている。


「あれ? 聞いたことないですか? 翼猫が癒しの魔法を使うっていう噂ですよ」

「えー! ティーグルが?」


 いつも寝てばかりおティーグルにそんな特技があったなんて。


「あれ? 違うんですか? 緑の光を見たんでそう思ったのですが」


 ああ、あれのことか。あれは私が治癒魔法を使った光だからティーグルは全く関係ない。でもここで否定すると、ではあの光はとか言われそうだし、困ったな。


「あれはたまたまのことだ。翼猫が気まぐれなことは知っているだろう。気が向かなければ飛ぶことだって拒否する動物だ。治癒魔法もその時が初めてだったんだろう」

「そ、そうです。あれって治癒魔法の光だったんですね。知りませんでした」


 タケルが治癒魔法を使ったのはティーグルだと言っているので、私もそれに便乗することにした。動物と話すことなんてできないから誤魔化せるだろう。


「へーたまたまですか。もう一度見たいのですが会わせてくれませんか」


 ニコニコと笑顔だけど有無を言わせない何かがこの青年からはにじみ出ている。

 タケルはまったく気にしていないようだけど、私は彼から目を逸らすことしかできずにいた。


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