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283 ティーグルと散歩をしよう

今日は天気がいいからティーグルと一緒に空を散歩している。私はティーグルに乗っているだけだから散歩という表現はおかしいかもしれないけどね。

 天気はいいけど暑さが半端ない。日差しがきつすぎる。


「さすがに暑いね。暑くてたまらないね」

「ニャーーァ」


 ティーグルも暑いようだ。夏はモフモフした毛皮も嬉しくないよ。


「仕方がないね。もう帰ろうか」


 私が帰ることを決意した時、どこからか鳴き声が聞こえてきた。この鳴き声はインコだ。私は飼ったことがあるから鳴き声を知っている。


「ティーグル、インコの鳴き声だよ。助けを呼んでるみたいだから、そこに向かって!」

「ニャッ!?」


 少し嫌そうな返事だったけど、鳴き声の方に向かってくれる。

 確かにインコの鳴き声だったのに。インコとはまるで違う大きさだった。

 そこには大きな鳥が一羽、助けを求めて待っていた。この鳥の鳴き声がインコと一緒だなんて。


「ピイ!」


 大きな鳥は私を見ると鳴いた。間違いなくインコと同じ鳴き声だった。


「どこか怪我をしてるのかしら」

「ニャ」

「ピイーーーーィ!」


 ティーグルが近付くと大きな鳥がビクビクするので、ティーグルには少し離れてもらうことにする。

 鳥はティーグルと変わらないくらい大きいので、気を付けないと足で蹴られただけで死んでしまう。血の匂いがするのでそっとそこに近づくと、羽を怪我しているのがわかった。これでは飛ぶこともできないだろう。

 ポーションは持っていないし、治癒魔法を使うしか治せそうにない。

タケルから自分がいないところで治癒魔法を使うことを禁じられているけど、この場合は仕方がないよね。それにこの付近に人はいないみたいだし、誰にも治癒魔法を使っている所を見られることはないだろう。

 大きな鳥の怪我した部分に手を当てると、怪我の情報まで頭の中に流れてくる。どうやら骨折までしてるみたいだ。この怪我は人間にやられたのかもしれない。

 治癒魔法を使うと緑の光が大きな鳥全体を包み込む。

 緑の光が消えると怪我が無事美治ったことがわかる。


「どう? 治ったわよ」

「ピイ!」


 大きな鳥は羽を何度か動かすと空へ上がる。空の上で二回、グルグルと回って去って行った。


「なんだぁ、あの鳥は元気じゃないか。仕留めたと思ったんだけどなぁ」


 突然大きな声が聞こえて振り返ると、三十代くらいの男性が立っている。恰好からして冒険者っぽいけど、あの鳥は彼の獲物だったってことかな。もしかしたら悪いことをしたのかもしれない。


「お兄さんは冒険者ですか?」

「そうだよ。あの鳥の肝は薬の材料になるから高く売れるんだ」


 それは知らなかった。でも逃げた鳥はどうにもならない。


「そ、そうなんですか。では私はこれで…」


 私も逃げよう。じりじりとティーグルの方に歩く。ティーグルの方から近付いてくれると助かるのだが、ティーグルはのんびりと尻尾をユラユラと振ってあくびまでしている。

 男は地面を見ながら呟く。


「でもおかしいなぁ。ほらここに血が流れている。それにさっきの緑の光は…」


 ひぃ。やっぱり治癒魔法を見られてる。私はティーグルに跨ると、さっさとその場所から逃げ出した。男の姿が段々と小さくなる。もう会うこともないだろう。


「ティーグルがいると逃げ出す時、便利だね~」

「ニャー」



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