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278 綿菓子製造機


 綿菓子製造機は意外と簡単だったようで、すぐに出来上がった。

 プリーモさんのところにいる職人さんが欲しいと思わずつぶやいてしまうくらい完璧な仕上がりだった。


「これは素晴らしいですね。タケルさんと試食しましたが雲を食べてるみたいと言うのがよく分かりましたよ。作り方も慣れると簡単で、祭にはうってつけの商品ですな」

「ただ材料がまだまだ高いですから利益は出ないですよ。私は自分のとこのザラメを使うからいいですけどね」


 ザラメが百均で売っていて本当に良かった。これがないと綿菓子にならないからね。


「祭には少々赤字でも売りたいものを売る。それが私の考えなので利益が出なくても構いませんよ。王都での祭には綿菓子を売る予定です。構いませんか?」

「別にプリーモさんが作った機械をどう使おうと構いませんよ。ただザラメは手に入るんですか?」

 砂糖とは違うザラメはこの世界にあるのか気になるところだ。

「やっぱりザラメでないとダメですか?」

「どうかなあ。グラニュー糖で作るのも聞いたことあるけど、この回転釜の部分が詰まるみたいです。ここを改良すればグラニュー糖で作れると思いますよ」


 私が説明するとプリーモさんはさらに悩むような顔になった。


「グラニュー糖というのは?」

「ああ、この砂糖のことです。この方が安いでしょ」

 私が手にとって見せると、プリーモさんは両方の袋を抱えて唸っている。

「うむ、どちらにしても材料はこちらで買うことになりそうですな」


 こちらの世界にも砂糖があるんだから、ザラメってありそうなんだけどね。

 クリリは作るのが楽しいのか何個も作っている。このままでは食べきれない数になりそう。


「クリリは綿菓子製造機を孤児院に持って行って作り方を教えてあげて。割り箸とザラメも忘れないでね」

二つあるので一つをクリリに渡す。

「えーと、試食してもいいの?」

「そうよ。みんなに試食してもらって意見を聞いてきてね。小さい子供は手を汚すだろうから気をつけて」

「はーい」

 

 クリリは嬉しそうに綿菓子製造機を自転車に括り付けた後に、自転車に乗り材料を片手に持って走らせた。自転車があると非常に便利だ。


「そうだ自転車の大量生産は出来そうですか?」

「あのタイヤの部分で悩まされたがなんとかなりそうです。スライムで似たようなのができたんですよ。次に来るときに持って来ましょう。今度こそは商品になりそうです」


 自転車はさすが難しいらしく、何度も挑戦している。3回くらいクリリが試運転させられて、その時は良くても、三回乗ると壊れたりして大量生産には程遠かった。けれど何度も試作を繰り返してやっと出来上がったようだ。プリーモさんのとこの職人は本当にすごい人ばかり。そしてプリーモさんも諦めることなく、試作品を作ることにお金を惜しまない。なかなかできることじゃない。ちょっとばかり怪しい時もあるけど、憎めないのは性根が悪い人ではないからだ。たぶん彼は好奇心のかたまり、新しいものが大好きなだけ。もちろん商人だからお金も大事にしてるけどね。

 タケルが他の商人とは付き合おうとしないのは、なんだかんだ言ってプリーモさんを信頼しているからだと思っている。


「自転車お楽しみにしてますね。自転車が一般的になったら売りたいものがあるんですよ。自転車カバーとか鍵とか夜道を走るためのライトとか、早く自転車を大量生産してくださいね」


 プリーモさんの顔がなぜか青くなった。別に今すぐ作ってって言ったわけじゃないのに……。






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