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277 夏祭りの計画


 今年の夏も熱中症対策(グラングラン病)のために塩飴やスポーツドリンクを用意する。

 特に温度管理の悪そうな孤児院や冒険者の人たちには、塩分や水分の補給を説明した。それだけで熱中症で倒れる人がいなくなるわけではないだろうけど少しでも改善されたらいいなと思う。


「でもナナミさん。買い物してくれた人にはオマケで塩飴五個あげたりはしなくてもいいと思うよ」


 クリリは呆れた顔をするけど、試食品を渡すのは商売の上で決して損をすることではないと思う。これによってマヨネーズの時みたいに爆発的に売れることだってあるのだから。まあ。塩飴が爆発的に売れることはないだろうけど、味が気に入れば買ってくれる人もいるし熱中症対策にもなると思っている。


「いいのよ、クリリ。試食品あげて捨てられるのは嫌だけど、この街の人は物を捨てるってことがないみたいだからね」


 この街ではあまりゴミも出ないみたいでリサイクル率がとってもいいのだ。うちで売ってる缶詰めの空き缶だって何かに利用されてると聞いた。


「でもさすがに飴を包んでいる紙は使い道に困ってるみたい。でも捨てたくないみたいで集めてる人もいるって話だよ。それを回収してるのがプリーモ商会みたい」


 飴を包んでいる紙って、ゴミだよね。あれは使えないよ。でもプリーモさんなら確かに何かに使いそうな気もする。私には想像もつかないけど何ができるか楽しみだね。


「クリリは大丈夫だと思うけど、水分の補給は忘れたらだめだからね」


「うん、わかっているよ。グラングラン病は怖いからね」


 わかっていればいい。タケルの家は温度調節もしっかりしているだろうから、その心配はしていないけど、孤児院に手伝いにいっているときが心配だ。孤児院もすごく暑いときは温度調節のできる魔石を使うらしいけど、予算的にいつも使うことはできないみたい。アルビーは部屋ができたら早めにうちに住んでもらうことになっている。通勤も何があるかわからないってタケルが言うからね。

クリリは冬までは勤めてくれるけど、来年には学校へ行くことになる。年の初めが入学になるって聞いてびっくりした。受験はこの夏の終わり頃にあるそうなので、今は追い込みかな。クリス様が言うには、絶対に大丈夫だって話だけど受験って運もあるから心配だよ。


「ナナミさん、今年の夏祭りもかき氷売るんだよね。みんな楽しみにしてるよ」


「うん、そのつもり。孤児院でも売るよね」


「院長先生がまた豪華版のかき氷器貸して欲しいって言ってた」


「他にも何か欲しいよね。綿菓子ってできないかなぁ。結構簡単だった気がするんだけど」


「わたがし? 」


「祭りの定番なんだけど、プリーモさんに頼んでみようかな」


確か自由研究で作ってた人がいた。コーヒーの空き缶を使って作ってたから、説明すればそれよりマシなものが作れそうな気がする。ザラメも百均で売ってたから、材料には困らない。綿菓子の色は飴を砕いてもいいかも。ただ私の説明でプリーモさんにわかるかが問題なんだよね。


「そのわたがしって美味しいの?」


クリリが尋ねてくる。クリリにとって食べ物って美味しいか不味いかなのかな。


「甘くて美味しいよ。でもね綿菓子って作るのを見るのも楽しいんだよね。見て美味しい、食べて美味しいって感じかな」


「そうそう、雲を食べてる気がするんだよな」


おお、いつの間に来たのか。タケルっていいこと言うよね。そう雲だよ。小さい頃はそう思ってたね。


「なんか食べたくなった。プリーモさん作ってくれるといいね」


そうなんだよね。それが問題だった。作ってくれるかな?


「俺が言って頼んでくるよ。ナナミの説明だと変なものになったらいけないからな」


そう言ってタケルはいなくなった。どうもプリーモさんの所に移動したみたい。突然タケルが現れて綿菓子製造器を作らされるプリーモさんにちょっとだけ同情した。

でも夏祭りまでに完成させて欲しいから、仕方ないよね。頑張れプリーモさん!


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