表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
271/314

270 ナットウ 1


 好き嫌いの少ない私だけどアレだけは苦手だった。この世界に来てアレが存在しないことがどれだけ嬉しかったことか、好きな人にはわからないだろう。

 タケルは出会った時から一度もアレについては尋ねて来ない。百均には売っていない食べ物だからなのか、タケルもアレが苦手だからなのかは聞いたことがないのでわからない。百円コンビニに売っていることを知って、一度だけ聞こうとしたけど薮ヘブになりそうだったのでやめた。

 なにも寝た子を起こすこともない。


 朝ごはんはエミリアとクリリと一緒に食べている。タケルは朝ごはんには現れない。たぶん朝が弱いんだね。


「今日の朝ごはんは玉子焼きとポテポテの味噌汁だよ〜」


「私は味噌汁が大好きになったわ。これを飲むとホッとするのよね」


 エミリアが初めて味噌汁を飲むときは恐る恐る口に含んでいたので、こんなに気に入ってくれるとは思わなかった。


「うわー、今日の玉子焼きは甘いんだね〜」


「今日の玉子焼きは砂糖を入れてるからよ。それにしてもクリリ、まだ食べてないのに甘いってよくわかったわね」


「俺は獣人だから鼻が効くんだよ」


 獣人って人間よりできることが多い。重い荷物も持てるし、目も私たちよりずっと遠くまで見ることができる。その上、クリリは優秀だから他の獣人より多くのことができる。


「クリリってなんでもできるのね〜。向かうところ敵なしって感じじゃない」


 エミリアが珍しくクリリを褒めている。でもそれを聞いたクリリは肩をすくめて首を振る。


「俺なんてまだまだだよ。タケルさんには魔法も剣の腕も全然なんだから」


 え? クリリ、タケルはああ見えて勇者なんだから敵うはずがないよ。勇者と自分を比べてまだまだだとしょげているクリリはすごいと思う。

 私だったらはじめっからかなわないってわかってる勝負はしないもの。


「まさかクリリの目標がタケルだったとはね。まあ目標は高い方が伸びるっていうからいいのかもね。まあ、時間はたっぷりあるんだから頑張んなさい」


 エルフであるエミリアさんと比べたら時間は少ないと思うよ。


「うん。頑張るよ。そうだ、タケルさんで思い出したんだけど、ナナミさんナットウってないの?」


「納豆って、クリリがなんで納豆を知ってるの?」


「タケルさんが朝ごはんの時に食べるものだって言ってたんだ。これが出たときは手紙で知らせろって言われてるんだ」


 なんとタケルは納豆が苦手ではなかったのか。まさかクリリにそんなことを頼んでいるとは思わなかったよ。


「ナットウってなんなの? 美味しいの?」


 新しいもの好きのエミリアさんが興味津々で聞いてくる。私が返事をためらっているとクリリが代わりに答えてくれた。


「臭くて酷い匂いがするけど、ご飯に合うんだって。ネバネバしてるって話だよ」


「臭くて酷い匂い? それだけで食欲失せるんだけど、本当にご飯に合うの?」


 エミリアさんが訝しげな顔で私を見る。やっぱり私が答えないといけないのか。できるなら関わりたくないのに。


「そうよ。すっごく臭いの。ネバネバして糸を引くから箸が汚れて洗うときは大変なのよ。あれは食べなくていいと思うわ」


「ナナミさん、洗うのは魔法を使えばいいんだから気にしなくていいよ。それより美味しいかってことが知りたいよ」


「そうね、私もそれが一番気になるわ」


 二人の顔は好奇心丸出しで、答えるまでは許してくれそうにない。はぁって息をひとつついて仕方なく口を開く。


「……食べたことないの」


「「は?」」


 二人の目が点になった。


「だから、私は納豆は食べないって決めてるから、食べたことないの!」


申し訳ありません。269話の題名を間違えていました。

ツナマヨパンが登場していないのにツナマヨパンの題名をつけていて

私もどうしてツナマヨパンになっていたのかびっくりです。

今日は納豆のお話です。私は生まれてから今日まで納豆を口に入れたことがありません。

多分死ぬまで食べることはないと思ってます。

ですがナナミがどうするかはわかりません。次回、食べるのかなぁ〜。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ