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263 オムカレーを食べよう


 公爵様とはクリリの学校への入学についても話し合った。獣人の入学は初めてなので混乱はあるだろうけど、公爵家の推薦もあるし試験に受かれば問題ないそうだ。

タケルは獣人の卒業生もいると聞いてたみたいだったが、実際には獣人は入学したことすらないとクリス様が教えてくれた。今でこそ平民も少しずつ増えているけど、やっぱり貴族が多いので獣人には敷居が高いみたい。

 けれど来春はガーディナー公爵家からクリス様の異母兄弟であるマリオ様も入学される。同じクラスにはなれないだろうけど、一人でも知り合いがいるって安心だね。

 マリオ様は見たところ大のもふもふ好きのようでティーグルに乗って空を飛んだ後もティーグルから離れない。そしてチラチラとクリリの方を見ている。


「いや~、竜と違って翼猫は乗り心地がいい」


 公爵様は竜にも乗ったことがあるのかそんなことを言った。確かにティーグルはもふもふしているので乗り心地はいいかも。


「本当に。私、馬よりも気に入りましたわ。ナナミさんはティーグルをどこで買われたの?」


 リリア夫人の目は輝いている。さすがにティーグルを譲ってくれとは言わないけど翼猫を買う気満々だ。リリア夫人にはプリーモ商会を紹介してあげた。


「プリーモさんきっと喜んでくれるね」


「どうかな。翼猫は簡単に手に入らないって言ってたから困るんじゃないか?」


「え? どうしよう。もう紹介したよ」


「まあ、いいんじゃないか。あいつは少しは苦労させた方がいい」


タケルはプリーモさんを信用していない。商売人は利益優先だからいつ裏切られるかわからないそうだ。食べ物の事しか考えていないように見えるタケルだけど、こういう事を言うのを聞くと、この異世界で苦労したことがわかる。

日本人だったタケルが人を簡単には信用しなくなるようなことが度々あったのだろう。私はまだ裏切られたことがない。いつもタケルやクリリやいろんな人に守られているからだってことはわかっている。


今日の昼ごはんはお礼にオムカレーを作ることにした。

オムカレーとはオムレツが乗ったカレーのことだ。シンプルだけど美味しいから喜ばれると思う。

公爵家の方々にカレーは食べれるかと聞くと、まだ一度しか食べたことがないと言われた。それもお湯で温めるだけのカレーで、パンと一緒に食べたらしい。

私が作るのを公爵家の料理人も興味津々で眺めているので手伝ってもらうことにした。ここではピーラーの存在を知らないようなので教えてあげると大変喜ばれた。

調子に乗ってポテポテを大量に剥いてしまったようなので、ポテポテサラダも作ることにした。

ポテポテサラダには魚肉ソーセージも入れる。桜色をしたソーセージは彩りにもなるし美味しいからね。

料理長は魚肉ソーセージが大変気に入ったようで、在庫があるなら売ってくれとまで言われた。この魚肉ソーセージは冒険者にも人気で、ウータイでは船乗りたちにも売れている。地味に売れている商品の一つだ。

ポテトサラダにもマヨネーズを大量に使ったけど、オムカレーにも少しだけ使う。マヨネーズを口の細い入れ物に入れ替えて、カレーの上に乗せたプレーンオムレツにお好み焼きにかける時の要領でかける。これが美味しいんだよね〜。


「これは素晴らしい。匂いも食欲をそそるが、カレーとはこれほど美味しいものだったのだな。お湯で温めるだけのものとはまた違う美味しさだ」


公爵様は一口食べて目を輝かせている。給食の時のカレーを前にした子供と一緒だ。


「そうですね。最近流行っているカレーパンも美味しかったのですが、このお米と一緒に食べるのもいいですね」


クリス様はカレーパンも食べてくれたようだ。王都でも売れているようで良かったよ。


「僕はこのサラダも好き。ポテポテがこんなに美味しいなんて思ったことなかったよ」


マリオ様はポテポテサラダが大好きになったようだ。


「ポテポテのコロッケも美味しいのよ。料理長に教えたから作ってもらうといいよ」


「ころっけ? なんか名前からして美味しそう」


タケルとクリリは無言で食べている。いつも食べてるカレーだけど、今日のカレーはオムレツが乗ってるのに何か一言いってほしいものだ。


「「おかわり!!」」


早々と食べ終わった二人はおかわりをした。何も言ってくれなかったけど、おかわりを所望するってことは美味しかったってことだよね。




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