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240 『マジックショップ・エルフの雑貨屋さん』の開店初日 2


クリス様のおかげで売り上げは飛躍的に伸びた。昼食から帰ってきたエミリアはとても喜んでいた。クリス様が連れてきた貴族の令嬢はオマケのハンドクリームに興味津々だった。気に入ってくれたらまた買いにきてくれそうだ。

カップ麺や飴やジュースも欲しいそうなので『マジックショップナナミ』にこの後寄ってから帰るそうだ。ふふふ、貴族様はやっぱりお金の落とし方が違う。

タケルの転移魔法がなかったら、連れてこれなかったってクリス様が言ってたからタケルにもご褒美が必要だね。

そう思ってタケルの昼食は五目ご飯と豚汁と魚の煮付けというシンプルだけど、タケルの好物を出してあげた。もちろん肉じゃがも忘れなかったよ。

私とタケルが食べ終わる頃には店も落ち着いてきた。そしてそれを見ていたかのようにショルトさんが現れた。


「売れているようで良かった、良かった」


「様子を見にきただけですか?」


私が暇人ですねみたいな感じで尋ねるとショルトさんは首を振った。


「お客だよ。うちのに頼まれたんだ。娘の誕生日に贈るものを買ってきてくれって」


娘さんがいたんですね。ショルトさんの年齢からすると、幼いってことはなさそう。


「何歳くらいですか?」


「十六歳だ。何がいいかさっぱりわからん。選んでくれ」


「選ぶのは構わないけど、どんなものを欲しがってるんですか?」


エミリアも会ったことがない人へのプレゼンントは悩むようだ。贈っても喜ばれなかったら最悪だもんね。


「それが、さっぱりわからないから困ってるんだ」


ショルトさんにしては珍しく、本当に困っているようだ。でも私たちも困る。これはショルトさんに頑張ってもらわないと……。


「髪は長いですか? リボンとかしてますか?」


ショルトさんはあてにならないと判断したのか、髪飾りを使っているかどうかの質問に変えた。


「ああ、髪は肩より長い。いつも二つに結んでいるから正確な長さはわからないが」


髪が長いのなら髪留めでも良いし、結んでることが多いのならシュシュやリボン付きのヘアゴムでも可愛い。エミリアはショルトさんから娘さんの髪の色を聞いてから選ぶ。ついでに手鏡と櫛も勧めた。

何もわからないで困っていたショルトさんは喜んで買ってくれた。綺麗な包装紙に包んでリボンを付けるとショルトさんが目を丸くした。


「これはなんだ!」


「プレゼントですから包んだんですよ。可愛いでしょ」


この世界でもプレゼントはあるし、リボンをかけたりするけど、ここまで綺麗に包装紙に包んだりはしないと言われた。物によっては箱に入れて包むつもりだったけど、当分は箱に入れるのはやめておくことにした。徐々に徐々に浸透させないとね〜。

ショルトさんが包んでもらうのを見ていたお客さんたちも、買ったものがプレゼントだと言うので包むことになった。本当にプレゼントなのかはわからないけど、包装紙が気に入られたのは確かだ。


「あれって包装紙目当てじゃないの?」


タケルが言うように明らかに包装紙目当てだろう。でも嘘かどうかは誰にもわからないし確かめようがない。


「包装紙って綺麗だから集めたくなるんだよね。商品は買ってくれてるんだからそのくらい良いよ」


「ナナミが良いんなら良いけど。俺の親も包装紙を何故か集めてたのを思い出したよ。結局使わないのになんで集めるのか不思議だったよ」


結局使わないってタケルが思ってるだけで、何かに利用してたかもしれないじゃん。私の場合は確かに引き出しに入れたままに終わったけど、あのまま日本で暮らしていたら使っていたと思う。多分だけどね。


「でも思ったんだけど、どうせ店を出すんなら王都に出した方がお客さんも多かったんじゃない?」


私はこの街が気に入っているから離れるつもりはないけど、エミリアはどこにでも順応できる。この間まではよその国にいたくらいだから、住む場所にこだわりもないのだろう。それなら王都で店を出した方が良かった気がする。


「一人で王都で暮らすより、この街でみんなと一緒に売った方が楽しいよ。それにここには便利なのがいるから王都に行きたい時は直ぐに行けるでしょ」


便利なのってタケルのことだよね。そんな便利屋さん扱いして大丈夫なの?


「今度から金取るからな」


ほら、エミリアが余計な事を言うからだよ。


「え? 今までは無料だったの? てっきりナナミが払ってるのかと思ってたわ」


あれ? 無料でこきつかってたのって私だけなの?


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