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238 玉子焼きを食べよう


エミリアの店、『マジックショップ・エルフの雑貨屋さん』の開店日だ。

私はいつもよりも早く興奮しているエミリアによって起こされた。


「エミリア、いくらなんでも早いよ。まだ真っ暗じゃないの」


「何をいってるの。朝ごはん食べてたらすぐに開店時間になるわ。さあ、早く早く」


二度寝したかったけど、また起こされそうなので仕方なく起きる事にした。クリリやタケルは一緒に住んでないからいいなぁと思う。

下に降りるとティーグルも起こされたようで


「ニャニャニャー」


と文句を言っている。かわいそうになったので少し早いけど朝ごはんをあげた。


「ナナミ、ティーグルよりも私の朝ごはんを先にして。ティーグルは今日も寝てるだけなんだから」


まあ、その通りなんだけどシュンとしたティーグルを見てると庇ってあげたくなる。


「ティーグルも寝てるだけじゃなくて働いてるのよ。今日はコレットさんが雑貨屋さんを手伝うからティ、ティーグルがここの店番を手伝うのよ」


「え? さすがにティーグルに店番は無理でしょ」


「そんなのことないわよ。こんなに可愛いんだから客寄せにもなるし配達だってできるんだから」


「配達? それは無理だわ。翼猫に荷物を運ばせるなんて誰も思いつかないわよ」


それは猫が気まぐれで仕事なんてできなから誰も思いつかないんだよね。でもティーグルだって一緒に配達する人がいればきっと配達できると思う。

今のは思いつきで話したことだけど、ショルトさんに相談してみようかな。タケルがいるから王都への配達とかしてもらってたけど、今度からはティーグルと私で配達できないだろうか。


「翼猫の宅配便か? さすがに無理があるぞ。だいたいティーグルと誰で配達するつもりだ? まさかナナミが行くとか言うつもりじゃないよな」


「そのつもりだけど?」


タケルは呆れた表情で私を見る。そんなにおかしな事を言ったつもりはない。


「ナナミは方向音痴だろう。隣街にだって行けるとは思えない」


「方向音痴ってそんなことないよ。一回行けば大丈夫だって」


一度タケルと行けば大丈夫だと思う。道だってそんなにたくさんないから道を辿って行けば着けるはずだ。


「今、街道の上を飛べば大丈夫だとか思っただろう。確かに道に沿って行けば王都に行けるが、休憩したらどっちに進んでいたかわからなくなってるナナミの姿が目に浮かぶよ」


さすがにそれはないよ。景色が違えば間違えることはない。


「ナナミさん、ダンジョンに行く時に馬車で外を見たでしょ? どうだった? 景色同じだったんじゃない?」


クリリに聞かれて思い出すのは目印のない茶色と緑の風景だった。確かにずっとあんな風景ばっかりだったら迷ってしまうかも。ティーグルもそんなに賢そうにないし配達はやっぱり無理かな。


「そうだね。ティーグルには無理だね」


「ニャン」


ティーグルは私が諦めたのがわかったのかホッとしたようだった。少しは働こうとか思わないのかな。まあ、猫だから無理か。


「ところでタケルたちはどうしてこんなに朝早くに来たの?」


「エミリアからの手紙で起こされたんだよ。早く来いって!」


「エミリアの手紙には魔法がかけられてて、起きるまで下手くそな歌を聞かされるんだ。あれは酷すぎる。まだ耳がおかしい気がするよ」


エミリアからの手紙は起きるまで騒ぐとんでもないものだったらしい。一緒に住んでなくても起こされるのか。さっきは二人が羨ましかったけど同じだったね。

開店で嬉しいのはわかるけど、人まで巻き込まないでほしい。


「ナナミ、早く朝ごはんにしましょう」


「何が食べたいの? 忙しかったら昼が簡単なものになるからガッツリいく?」


「うーん。ご飯と味噌汁と玉子焼きでいいわ。あんまり食べると動けなくなるから」


「じゃあ、俺も同じので。玉子焼きは甘めで頼む」


「俺も同じが良いけどウインナーもあったら嬉しい」


クリリだけウインナー希望したけど、絶対足らなくなるだろうから多めに焼いた方が良いよね。

味噌汁の具はエノキのようなキノコとポテポテで作った。玉子焼きも甘めのと砂糖の入ってないのを分けて作る。ごはんは炊きたてをアイテムカバンに入れてたからそれを取り出す。


「「「いただきまーす」」」


最近はクリリとエミリアも「いただきます」を覚えた。クリリは箸も上手に使えるようになった。


「やっぱり玉子焼きは甘い方が好きだな」


「私は甘くない方がいいわ。甘いとデザートみたいな感じになるのよね」


「俺はどっちも好きだよ。ウインナーの方が好きだけど」


エミリアは美味しそうに食べている。開店初日で焦ってたけど落ち着いたようだ。

売れるとは思うけど、今まで売ってたものが多いからどこまで売れるかはわからない。それに『マジックショップナナミ』で売ってるものは日常品だけど、雑貨屋は贅沢品でもあるから……。

でもこんなにエミリアが張り切ってるんだから売れてほしいな。


「ナナミ、ごはんおかわり」


タケルはのんきでいいいなぁ。


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