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232 女子会


 本日は久しぶりの女子会だ。

 昨日から用意してたから大変だった。特にタケルがつまみ食いするからね〜。なんか女子会に参加したかったみたいなんだよね。タケルが女子会って絶対に無理があるよ。クリリならまあまだ大丈夫だけど。

 今日も朝から警戒してたけど、どうやら諦めたようで安心したよ。


「勇者様、ちょっと可哀想ですね」


 ベスは優しいからそんなこと言ってるけどタケルが女子会に参加したらこの倍は料理がいるからね。三日前から準備しないといけなくなるよ。


 今日の参加者はコレットさんとベスと初めての女子会の時にも参加してくれた近所のモリーとエミリアさんとベスのおばあちゃんと私を入れて六人だ。ベスのおばあちゃんは猫の獣人さんで一度でいいから女子会なるものに参加してみたいという事なので誘う事にした。


「このハンバーガーというのは、このあいだいただいたサンドイッチとはまた違った感じですね〜」


 ベスさんが口を大きく開けてかぶりついている。


「本当に! 食べやすいのはサンドイッチですけど、私はハンバーガーの方が好きです」


 モリーもハンバーガーの虜になったようです。このハンバーガーは一年だけの限定商品だから、いつかハンバーガーの店ができるといいなぁって思う。パン屋のゴングさんに相談してみようか。でも今は忙しそうだって話だから落ち着いてからにしよう。


「パン屋のゴングさん、王都にも出店するらしいですね」


「そうなんですよ〜。全部ナナミさんのおかげだってゴングさんはみんなに言ってますよ」


ベスさんは嬉々とした表情で教えてくれる。

 へ? そんな事言いふらさないでほしい。私はドライイーストの作り方を教えただけなんだから。工夫したのも改良したのもゴングさんだよ。


「パンが柔らかくなったから、私も食べるのが楽になったよ。前のパンは固くて年寄りには食べにくかったからねぇ」


 この世界の人たちは顎の骨が強いのか固いものでも結構平気で食べる。でも猫の獣人であるおばあちゃんが食べにくかったと言うぐらいだから、人間の年寄りはさらに食べにくかっただろう。


「うちのおじいちゃんはモウモウのミルクに浸して食べてたんです。でも柔らかいパンができたから、普通に食べれるようになったって喜んでます」


 そうなのかー。それは良いことをした。日本と違ってこの世界の主食はパンだから、パンが食べれなくなったら死に近付くようなものだ。


「ところでエミリアさん、聞きたいことがあったんです」


 モリーはハンバーガーを食べ終えるとエミリアに話しかけている。エミリアはずっと食べ物に夢中で、今も話しかけられて迷惑そうな顔だ。

 次の女子会には呼ばないことにしよう。


「なんですか?」


 私の心の声が聞こえたのかエミリアが急に食べるのを中断した。


「今度、女子専用の店を開くって噂になってるんですが本当ですか?」


 もう噂になってるんだ。まだ店を改造してる段階なのにすごいね。


「本当ですよ。『マジックショップナナミ』だとお客さんが冒険者の方も多いので、女の方は入りにくいみたいなので分けて売る事にしたんですよ。開店したら是非買いに来てくださいね」


「わー! 嬉しです! 絶対に買いに行きます」


 モリーはおしゃれな娘だから本当に喜んでいる。


「今まではスペースの関係で置けなかった物も売るそうだから楽しみね。でもお金もかかるわよ。お小遣いは残しているの?」


 ベスもどんなものがあるのか楽しみにしているようだ。


「そうねぇ。多分大丈夫よ。時計を買いたくて残してたのがあるから」


 時計はまた今度買う事にするらしい。まあ、女の子は時計より髪飾りやお化粧の方が興味あるか。


「開店の日はおまけもあるから楽しみにしていてね」


「えー! 本当ですか?」


「わー! 楽しみです。でも開店の日って私休みだったかなぁ」


「おばあちゃんでもおまけがあるのかい?」


「もちろんですよ。おばあちゃんだろうが赤ちゃんだろうが、みんな女ですからね」


 本当にエミリアは商売上手だ。ベスとモリーは自分たちの友達に話すだろうから、あっという間におまけの話は広がるだろう。開店の日は大丈夫か心配になるよ。またショルトさんに叱られそうな気がする。でも今回はエミリアが悪いんだからね!


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