208 ダンジョンに行こう 4
「次の五層は魔法が使えないの」
エミリアのセリフに私は驚いた。ということは私のバリアも使えないわけで.....えっ?
「大丈夫よ。ナナミの事は私が守るわ。ただ明かりもつけられないから、ローソクだけで進む事になるのよね」
「ローソクだと薄暗いから魔物に気づくのが遅れそうね」
どうやらただ魔法が使えないだけではなく魔道具も使えないようだ。ダンジョンは洞窟の中にあるから魔道具の明かりが使えないと真っ暗だ。 ローソクの明かりだけで、この洞窟の道を歩くのは私には無理、絶対に無理だ。夜は暗いこの世界のエミリアやコレットさんと違って、日本で暮らしていた私は暗闇に弱い。どうしたものか....転んだら痛そうだし。そうだ! 百均ってLEDライト売ってたよね。ローソクの明かりよりは明るいはず。
早速百均でライトを探した。色々な種類のライトがあって迷った。とりあえず一番大きいのを三個ほど買った。
五層の入り口に近付いた時に、二人に渡すと首を傾げた。
「何これ?」
「ライトよ。魔道具とは違うから使えるかと思って」
使い方がわからないようなので私がはじめに使ってみる。
「「明るいわね、これがあれば早く歩けるわ」」
エミリアとコレットさんもライトを点けた。電池がどのくらいもつかわからないけど、五層の間だけなら大丈夫だろう。
コレットさんが前で後ろはエミリア。私は真ん中だ。二人の強さはさっきまでの戦いを見て知ってるけど、タケルの時と違って安心出来ない。やっぱりバリアがないと不安だ。
「ナナミ、ちょっと歩くの遅くなってるよ」
コレットさんと距離が開くのを心配してかエミリアに注意された。足が震えて遅くなってしまったようだ。情けないけど魔法が使えなければ私なんてこんなものだ。
「大丈夫よナナミ。私達も魔法を使えないけど、それは魔物達だって同じなのよ。コレットも私も魔法がなくてもこんな所に出てくるような魔物に負けないわ」
「そうよ。この辺に出てくる魔物なんて目を瞑ってても倒せるわよ」
コレットさんも戻ってきて私を元気付けてくれた。
「それにさっき貰ったドリンクのせいか力が漲ってるの。負ける気がしないわ」
「あら、エミリアもなの。私もなのよ〜早く戦いたいわ」
ドリンクって栄養ドリンクのこと? あれにそんな力はないのに。それに私も飲んだけど身体のだるさが取れただけで力が漲るとかないから。
その後現れたコウモリを大きくしたような魔物は二人に滅多打ちにっされた。グシャっとかドスッとか聞こえてたけど私はなるべく見ないようにした。ダンジョン内だと魔物を倒しても魔石や素材を落としてくれて死体は無くなるから良いけど、なるべくなら血飛沫や魔物の死体は見たくない。
あっという間に五層を抜けることが出来た。
やっと六層。ここは今日寝る事が出来る場所があるって言ってたけどどんな所かしら。あんまり酷いところだったら、二人には悪いけどタケルに迎えに来てもらおう。タケルの魔法があったらまた明日この場所に連れてきてもらうことも出来そうだし、いいよね〜。