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206 ダンジョンに行こう 2

 乗合馬車の乗り心地は最悪だった。風呂に入ってない人がいるのか匂いも最悪だったけど、ガタンゴトンと石畳の上を走る時の音も酷かった。けれどこれはまだ良い方だった。街から出ると揺れがさらに酷くなったのだ。


「うっ、これはスゴイです。し、舌を噛みそうだよ」


「ナナミさんだったら本当に舌を噛みそうだから話さない方が良いですよ」


 コレットさんは全く揺れてないかのように真っ直ぐとした姿勢で座っている。

 なんてこと! 

 私だけがあっちにフラフラ、こっちにグラグラと。

 最悪だよ〜!

 今までタケルの転移魔法で楽してたからなぁ。まさか馬車がこんなに揺れるなんて。しかも車と違って隙間から風も入ってきて寒い。こんなだとダンジョン行く前に死んでしまいそう。


「なんか転ばない方法ってないの?」


 私は馬車が走り出してすぐにギブアップした。


「転ばない方法って.....揺れるのに逆らうから反動で転ぶんじゃないかなぁ〜揺れに任せたらどう?」


 エミリアは簡単に言うけど、揺れに任せたらそのまま転がっていく自信があるよ。どうしたものか.....。


「そうだ!」


 私は百均で滑り止めマットを買ってお尻の下に敷く事にした。その上に座布団を置いたので揺れも半減されるし痛くない。


「あら、それ良さそう。私も欲しいわ」


「できれば私も」


 エミリアとコレットさんが全然大丈夫そうなのに、滑り止めマットと座布団を欲しがるので、二人にも渡した。


 エミリアは座布団よりも滑り止めマットに興味があるらしく、しばらくは敷くこともなく滑り止めに触れながら


「う〜ん、この素材って......う〜ん」


ウンウン唸っていた。その姿を見てある人物を思い出した。


「なんかエミリアってプリーモさんに似てない?」


 私から貰った物をサッサとお尻の下に敷いたコレットさんもエミリアを見る。


「そうですね。新しい物好きなところが似てるわね」


 私はそのコレットさんの腰にある剣について聞くことにした。実は朝、会った時から気になっていたのだ。


「その剣って、コレットさんの剣なんですか?」


「そうよ。冒険者だった時に使ってたの。久しぶりに使うから昨日は手入れに時間がかかったわ。時々は手入れしてるんだけどね」


「コレットさんって魔法で冒険者してると思ってたけど、剣で戦うんですね」


「魔法も使えるけど、こっちの方が好きなの」


 コレットさんが剣を見る目はウットリしているような....。もしかしてコレットさんの目当てはダイエット茶の種ではないのかもしれない。ダンジョンに行きたいだけだったのかも。

 エミリアは滑り止めマットと座布団の出来を確かめながら、コレットさんは大事そうに剣を撫でながら、私は少しでも馬車の揺れをなくす努力をしながら、ダンジョンのある入り口までの三時間の道のりが過ぎて行った。

 


 




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