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204 水を飲んでダイエット


「ナナミの飲んでるジュースは透明だけど、どんな味がするの?」


 ジュースの味を覚えたエミリアは店にあるジュースを一通り飲んだ為、私の飲んでる水にまで興味を示した。でもこれは本当に水でしかない。ジュースではないので味はない。


「これは水だよ」


「えっ? 水を飲んでるの? でもナナミずっとそればっかり飲んでるよね。こんなに美味しい飲み物があるのになんで水なんかを飲んでるの?」


 エミリアは不思議そうに首を傾げてる。


「それはね.....」


 私は周りに誰もいないことを確認してから口を開いた。


「ダイエットよ」


「ダイエット? 水を飲んでるだけでダイエットになるの?」


「一日二リットル飲むと効くらしいの。脂肪が分解されるのよ。これなら簡単だから私にもできそうでしょ。みんなには内緒よ。男はダイエットが理解できないんだから。そのくせ太ってる女より痩せてる女の方が好きなんだから.....」


「私も太ったことないからよくわからないわ」


 エミリアもタケルと一緒で食べても太らない体質だと笑って言う。私はそんなエミリアを鼻で笑ってやった。いつもは優しい私も体重が関係してくると厳しくなるのだ。


「エミリア、ここ来てから丸くなってるんじゃない? そこに体重計があるから乗ってみたら? 今までと違ってジュースやお菓子をいっぱい食べてるんだからきっと太ってるよ」


「たいじゅうけい?」


「重さを測ってくれる悪魔のような道具よ」


 エミリアは今まで体重を気にした事がなかったようで、体重計という道具を恐れた。乗ってみてと言っても絶対に乗ろうとしない。


「エミリアも私の仲間じゃない。一緒に水でも飲む? 痩せるよ」


「それで水を飲んでどの位痩せれるの?」


「一月で3キロは痩せると思うよ。私の友達がその位痩せてたもの」


「一月で3キロって.....そんなまどろっこしい方法じゃダメよ」


 まどろっこしいって、運動もしないで痩せようとしてるんだからこんなもんだよ。っていうかエミリアさん、ダイエットに本気モード? 火をつけちゃったかな。運動を一緒にしようとか言われたら嫌だなぁ。どうしよう。


「ダンジョンに行くわよ」


 エミリアにとっては運動もまどろっこしかったようだ。


「へ?」


 ダンジョンってあれだよね。この世界にあるの? 洞窟の話は聞いたことあるけどダンジョンって初めて聞くよ。


「確かこの隣の街との間にあったはずよ。ダイエット茶の種が出るダンジョンがね」


 ダイエット茶の種ってめっちゃ怪しいんだけど。痩せると見せかけて病気なるようなお茶じゃないでしょうね。病気になったら必然的に痩せるけどそんなやせかたは望んでないよ。


「えっ! 隣街にダンジョン? 初めて聞くんだけど」


「ナナミはもっと周りを見たほうがいいわ。何もないこの街がこんなに栄えてるのは何故かとか不思議に思わなかったの?」


 思わなかった。何故なら栄えてない街を知らないからこんなものだと思っていた。そうか、ここは栄えてるのか。


「まあいいわ。そんなことより、二人でダンジョンに潜りましょう」


「いいえ、三人よ。あのダンジョンにそんなものがあるなんて知らなかったわ」


 私たちの話を聞いていたようでコレットさんが突然現れた。コレットさんは何故かとってもやる気満々だ。

 エミリアとコレットさんはダンジョンに行きなれているらしくどんどん話が決まっていく。私、行くって言ってないよねえ。

 唯一同じ部屋にいるティーグルに助けを求めたけれど眠っていて役には立たなかった。













 


 






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