19 開店初日③
どうやら考えが甘かったみたい。おそらく宣伝用に配ったジャムとマヨネーズが原因で行列ができたらしい。
私は慌ててカウンターの奥の部屋に入ると百均でマヨネーズとイチゴジャムとリンゴジャムを300個、オールド眼鏡も200個、後開店記念に渡す飴とカップ麺を300個購入してすぐ出せるように棚に置いておく。
『カランカラン』
人が入ってくる音で、素早く店に戻った。その後のことはよく覚えてない。とにかく売って売って売りまくった。ほとんどの人がジャムとマヨネーズとオールド眼鏡目当てなので、店に長居しません。回転率がいいよ。お昼が過ぎた頃にやっとひと段落ついたようで、ショルトさんと部下の人が2人入ってきた。
「次は2時から販売するって言ったから少し休めますよ」
まだ終わりじゃないのか。でも休憩が取れてよかった。とにかく喉が渇いたので、店にあるペットボトルのお茶を開けて飲む。
「ショルトさんと部下の人もどうぞお飲みください。何がいいですか？」
3人とも恐る恐る手にしてる。ショルトさんがメロンソーダをとると2人も同じものを取った。開け方は私がお茶を飲むのを見てたのでわかったみたい。
「これも入れ物が面白い」
ショルトさんがペットボトルを見て呟くと部下Aが
「味も変わってるし、はじけるような飲み物です。ビールのようでアルコールじゃない。でもこれ好きです」
と笑顔で褒めてくれた。炭酸のジュースは初めてらしい。褒めてもらえて気をよくした私はカップ麺も食べてもらうことにした。
「お昼どうですか？ 開店祝いに配ってるカップ麺食べてみませんか？」
3人とも食べてみたいというので、お湯を沸かして来て店でカップ麺を作った。といってもお湯を入れただけ。割り箸では食べれそうにないので使い捨てのフォークを配った。
5分たって私が食べ始めるとショルトさんたちも見よう見まねで食べた。
「ズーズズー。どうですか？私は好きなんですけど……」
「ズズー。これは、お、美味しいです。こんなに簡単にお湯を入れるだけで作れるなんて、携帯食になります。画期的ですよ。ズズー」
ショルトさんはフォークで苦労しながら食べてる。食べ方が今ひとつですが気に入ってくれたようで安心した。
「このスープの味も、濃くてなんとも贅沢な味です。ズ、ズ、ズー」
先ほどもメロンソーダのコメントしてくれた部下Aさんがまたもや褒めてくれる。そういえば部下Bさんはコメントがないよ。でもすごい勢いで食べているから気に入ってくれたのかな。
私は一つで十分でしたが、ショルトさんが達は物足りないようだったので焼きそばのカップ麺も作った。お湯を入れて5分たった後、今度はお湯を捨てます。そこにソースをかけると店にソースの匂いが漂った。食欲を刺激する匂い。
「はい、できましたよ。どうぞ、お食べください」
声をかけるとすごい勢いで食べてる。ふふふ、これならカップ麺はこの世界でもバカ売れ確実かな。
