198 同居人エミリア?
昨日は大変だったなぁ〜とティーグルに餌を与えながら思った。
でも有意義な一日だった。クリリのスケートの腕(?)はメキメキと上達した。エミリアはトリプルアクセルもクワドアクセルもクリリに教えてくれた。
これでプリーモホテルでのスケート場オープンの時のスケートはクリリに任せれる。
「プリーモの事だからナナミにも滑ってくれって言うんじゃないか」
返事もしてないのにプリーモさんって強引だから滑ることになってたからね。でも今回は大丈夫。私もちゃんと考えてるよ。
「ふふふ。滑るのはクリリだけじゃないのよ」
「俺は滑らないぞ」
「タケルの滑りじゃ面白くないでしょう。やっぱりスケートは男女が滑ったほうが華があるよ」
「と言うことは、生け贄は......」
「生け贄って、その言い方はないよ〜。向こうから是非滑らせてくれって言ってきたんだから」
「あー! それでエミリアが急にプリーモホテルに泊まるって言い出したんだな」
エミリアは着の身着のままで私たちについてきた。プリーモホテルに泊まるといってけど、プリーモホテルは残念ながら満員で泊まれなかった。
予約でいっぱいらしい。プリーモさんって変な人だけど商売は上手だよね。
「まだ寝てるのか」
上を見てタケルが尋ねる。
「うん。昨日も遅くまで起きてたから当分目覚めないと思うよ」
エミリアは二階の余ってる部屋に泊める事にした。タケルの家の方が広いけど男所帯だからね。
布団とかをどうしようかと思ってたけど、エミリアはニッコリ笑ってステータスからベッド一式を取り出した。タンスも出した時には、まさかずっと居座るつもりではと不安に思ったほどだ。
「遅くまで起きてたのか?」
「隣の部屋だから聞こえてきたんだけど、ガタンゴトンと音がしてた」
「まさかベッドとタンスだけじゃなく他にも? エミリアのヤツこのままここに居座る気じゃないか」
タケルも私と同じ様に思ったみたい。でもまさかここに住み着くって事はないと思う。だってユダナ国の王都に住んでいるエリミアがこんな田舎に住み着くはずがないよ.....たぶん。
「ナナミさんは甘いよ。いつの間にか家ごとエミリアの物になったらどうするの?」
クリリが店の方から顔だけ出して私を見る。クリリってば、それは流石にないよ。タケルだっているんだから。
でも確かにどの位ここに居る予定かは聞いた方が良いかな。タケルみたいに居座られても困るもんね。