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190 ライスバーガーを食べよう

   

「ナナミもよく頑張ったよ」


 モ◯バーガーのライスバーガーを頬張りながらタケルが言う。ちなみにモ◯のハンバーガー一年分を当てたのは私ではない。

 私がやったことといえばひたすら商品を買った事と百均でいくらでも買える商品を当て続けた事だけだ。

 もちろんタケルやクリリだって全部良い商品が出た訳ではないけど、自転車や焼酎や有名パティシエのケーキといった百均では買うことの出来ない商品を当てたのは彼らだ。

 

「この一年分ってどのくらいのことなのかなぁ」


「書いてないのか?」


「一年分って書いてる」


「じゃあ、一年間は出続けるんじゃないか?」


 いや、それはないだろう。昔から思ってたけどこの一年分って曲者だよね。はっきり何個とかって書いてないからタケルみたいに沢山貰えると勘違いする人がいると思う。そんなに世の中甘くないよね。


「ナナミさん、猫車貸してくださいって人がいるけど貸していいの?」


 店番をしているクリリが大声で尋ねてくる。一度貸すと癖になったみたいで猫車を借りに来る人が多い。


「いいよ〜」


 返事を返すと


「猫車貸してるのか? 売ればいいのに」


「ひとつは孤児院に寄付したんだけど、それを見た人が借りに来るんだよね。売るつもりだったけど沢山あるわけじゃないからね。貸し出すことにしたの」


 クジで当たったものだからご近所さんに還元するのも良いだろう。


「盗られるんじゃないか?」


 不用心だとタケルは不満顔だ。


「なんか店に置いておくのも土とかついて汚いから外に置いてるけど、盗む人はいないから大丈夫だと思う」


「ああ? 外に置いてるのか?」


「だって使用前ならあれだけど使用後は置いとけないよ。一応食品も置いてるわけだから」


 タケルは呆れたような顔だけど、猫車に愛着はない(名前は可愛いけど)。盗まれても、あ〜やられたなぁ〜って思うだけだ。というか邪魔だから全部孤児院に寄付しようと思ってたけど遠慮されてしまった。残念。


「色々ダメだろ。確か二つあったよな。返却されたらこれをつけておけ」


 タケルはどこからともなく銀色のリングを取り出した。


「何これ?」


「これをつけてたら盗まれてもどこにあるか場所がわかるんだ」


「もしかして魔道具? すご〜い! ファンタジーだね〜! ん? でもこれ3個あるよ。猫車は二つだよ。あ〜孤児院のにもつけたほうがいいよね」


「違う。これはナナミのだ。ホントお前は何をするかわからないからな。これをカバンにつけておけ。カバンを置き忘れたりしそうで怖いよ」


 あ〜びっくりした。カバンにつけるのか。てっきり私につけられるのかと思ったよ。でもこれって輪になってるからどうやって付けたらいいのか。百均で紐でも買ってぶら下げようかなと思いながらカバンに近付けるとスーッとカバンの中に吸い込まれてしまった。

 あれ? もしかしてカバンの中に入ったの?


「ああ、それでいいんだ。このカバンにはダメかと思ってたけど大丈夫だったな。これでどこに置き忘れてもすぐ見つかるからな」


 へ〜。銀のリングって消えるんだ。でもよく考えたらこのリングの方が狙われそうだもんね。きっとバカ高い値段がするに決まってるもん。









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