18 開店初日②
やっぱり本はいいな…。魔法の本を開くとインクの匂いがする。さて読もうかと思って初めの3文字で
『カランカラン』
ドアが開いて女の人が入ってきた。今度は20代半ばの女の人だ。
「この間マヨネーズとかいうものをいただいたのですが、売ってますか？」
「はいそちらの棚になります」
「良かったわ。うちの息子がこれをつけると野菜を食べてくれるの」
２つ買ってくれた。カップ麺を1つ開店記念に渡した。
「お湯を入れて五分で食べられます。ありがとうございました」
みなさん朝が早いよ。まだ8時過ぎなのにもう2人もお客さんが来た。異世界の人は早起きなのかな。
二人目の人が帰ると入れ違いに熊の獣人の40代くらいの男性が入ってくる。彼は【くまのねどこ】のご主人だ。どうやら買い物に来てくれたんですね。
「開店おめでとう。人がいっぱいですね。早くから来て並んでいて正解でした」
確かに開店からすぐ人が入ってきてますが、人がいっぱいというほどではありません。
「朝早くから来てくれると人がいるとは思ってませんでしたが、人がいっぱいは大袈裟ですよ」
ご主人もマヨネーズを買ってくれた。チェックアウトした時に見本を渡したのが良かったのかな。くまさんだからハチミツを開店記念に渡した。
「え？ 知らないんですか。すごい列ができてますよ」
「え？」
慌てて表に出るとショルトさんが立っている。その後ろには何故か行列が続いてる。
「これはいったい、どうしたんですか？」
「いっぺんに入れると大変なことになりそうですから、制限してるんです。多分こうなると思ってましたから。これも商業ギルドの務めなので気にしないでください。多分今日と明日がピークでしょう。次からは3人づつ入れていきますよ。大丈夫ですか」
「はぁ。頑張ります」
どうやら本を読む暇はないかな。
