186 ご飯を炊こう
『はじめチョロチョロ 中パッパ 赤子泣いても蓋とるな』
ご飯を炊いたことはあるけど、いつも炊飯ジャーだった。学校の合宿訓練で飯ごうを使って炊いた事はあるけど、人任せだったのであまり覚えてない。
百均で買った土鍋で炊こうと思うが上手く炊くことが出来るだろうか? そんな事を考えているとパッと祖母に言われたことが思い浮かんだのだ。確か意味は炊き始めはやや弱火で、蒸気が出てきたら強火にして、水分がなくなってジワジワと音を立て始めたら火を落として、蒸らしている時に赤ん坊が泣いても蓋を開けたらダメだよってことだったはず。
よし、女は度胸だからね。コンロに二つ土鍋を並べる。一気にいっぱい炊きたいけど、大きい土鍋が百均には売ってないんだから仕方ない。今日のおかずは百均コンビニの惣菜にしよう。
「もっと沢山炊けないのか?」
「土鍋が大きいのないからね。タケルは二杯食べていいからね」
「二杯....」
精一杯譲歩したのに不満そうだ。
「どっちにしてもそんなにお米があるわけじゃないんだからいっぺんに食べないほうがいいよ。五百キロって言っても何年持つかわからないよ」
ヨウジさんやユウヤさんやカホ様にもお裾分けしたいから、あっという間に無くなりそうだ。
「そのクジって初めてだったんだよな。一年で初めてのことだから、次は来年か?」
タケルには、クジのことを話してるから真剣な顔で考えている。
「来年、もしクジがあってもお米が当たるとは限らないよ。それに後二日間はクジがあるって言ってたからまずはそれまでに沢山商品を買ってクジを引くことだと思う」
「後二日間、クジが引けるのか?」
タケルは驚いたような顔だ。
「さっき言ったでしょう?」
「いや、初めて聞いた」
お米ばっかりに目がいって、耳が働いてなかったんだと思うよ。
「そうだ。ナナミは商品をたくさん買ってくじを引くんだ。ご飯は俺が見てるよ」
「タケルはご飯を炊けるの?」
タケルはゆでたまごしか出来ないって言ってたのに大丈夫なのだろうか?
「バーベキューは得意だ。ご飯も炊いた事があるから任せろ」
タケルのバーベキューって焼くだけだったんだろうなぁ。でもちょっと自信が無かったからタケルがご飯を炊けるのは助かった。
タケルに言われたようにご飯が炊けるまで百均で必要な商品を選んで買っていく。そのおかげでクジが十回引けた。
残念ながらお米は出てこなかった。二リットルの《美味しい水》千箱がまた当たったから、同じ商品が当たらないわけじゃないみたいなのに残念。
ちなみにその他に当たった商品はこれだ。
猫車 四台
おいしいキムチ 千パック
体重計 百台
ヘアカラー 千箱
柿 百個
キンチョー◯ 千本
寝ぐせ直し 千本
おいしい日本酒 五十本
トイレットペーパー 千個
キムチとか柿は嬉しいけど微妙だ。やっぱりクリリに選んで貰えば良かったかも。
「米は? 当たったか?」
タケルの視線が痛い。う~ん。日本酒って米から出来てるからこれで勘弁してもらえないかなぁ。