183 あやとりをしよう
今日は孤児院に来ている。本を見ただけで本当に編み物ができるようになるのか検証するためだ。クリリがあまりにも簡単に棒編みを取得したが、他の人でもできるのか子供達に手伝ってもらう事にした。もちろん無料で手伝ってもらうのは悪いので余った毛糸や編むための道具は寄付する予定だ。
孤児院の子供たちは全員簡単な文字は読めるようになっている。読めない文字はクリリに聞いても良いが、編み方等の質問は受け付けないことにした。
「この本は絵で説明されてるからわかりやすいわ」
やっぱり編み物だからか女の子の方が理解が早い。私がじっと見ているとやりにくそうなので、編み物をしてない子達とあやとりをする事にした。
まず手本を見せなければ。
「一段はしご!」
一本の糸をつなげて作ったはしごは気に入ってもらえたようで
「「「わーー!」」」
と喜んでくれた。
「二段はしご」
「「「「おーーー!」」」」
「三段はしご!」
「「「「「えーーー!」」」」」
子供たちの目がキラキラと輝いている。次は?と言う期待の目だ。マズイ。五段までしか出来ないけどがっかりされないだろうか。
「四段はしご!」
「「「「「「すご〜い!」」」」」」
どうやら編み物をしていた子達も私のあやとりを見ているようで人数が増えている。この辺でやめたほうが良いよね。
「というように毛糸が少しあれば一人でも遊べるから、みんなも仕事をしてるお姉さんたちの邪魔をしないようにね〜」
小さい子はまだバザーに出せるものを作るのは無理なので、冬の間はする事もなくどうしても邪魔をするようになるとクリリが言ってた。今年は遊ぶ道具や字を覚える教材もあるので小さい子たちもみんなの邪魔にはならないだろうけど、あやとりでも遊べたらきっと楽しいと思う。
「はしごの作り方って段によって全然作りかたが違うから結構難しいな。ナナミさんってすごいね」
私がはしごの作り方を説明しているとクリリが一緒に作りながら言う。難しいって言いながら、簡単に作ってるクリリの方がスゴイと思う。
「出来た! 一段はしご!」
クリリがあやとりでも作ったはしごをみんなに見せる。
「「「わーー! 僕にも教えて!」」」
クリリの所にみんなが集まる。私が教えるよりクリリの方が上手だから任せる事にしよう。ススッと子供達の輪から逃れると
「ナナミさん、いつもありがとうございます」
と笑顔で院長先生からお礼を言われた。
「いえ、先ほど先生方にも言ったのですが今回は私の仕事を手伝ってもらってるのです。手伝ってもらうお礼は夏用の毛糸とレース編みの糸を用意してます。来年のバザーで売るものが冬の間の沢山編めるといいですね」
「どのようなものが編めますか?」
「初めは難しいかもしれませんが、慣れたらどんなものでも編めると思いますよ。レース編みは奥が深いですから素敵なドレスも作れるかもしれませんね」
「まあ、それは素敵ですね」
さすがにドレスは作れてもこの街のバザーじゃあ売れないかなぁ。でも上手に出来てたらプリーモさんに売ってもいいかもね〜。