17 開店初日①
鳥のさえずりで目が覚めた。夜中に何度も目が覚めたので、まだ眠たい。
部屋着から、淡いブルーのワンピースに着替えた。新しい服は気持ちがいいです。
昨日買ったパンをお茶で流し込みます。なんかドキドキして食べ物の味がしないよ。
「少し早いけど開店しよう」
他にすることないしね。でも、きっと暇だろうから昨日買った本も持っていくことにする。カウンターの中には椅子があったのでそこで座って本を読みながらお客さんを待つことにした。釣り銭をカウンターの下の段にとりやすいように置く。カウンターには百均で買った電卓を置いておく。計算間違いをなくすためです。あとノートとボールペンで買ったものを記録する予定。準備は万端です。多分……。
ドアの鍵を開けると、表のドアの表示が《開店してます》に変わります。ちなみに鍵を閉めると《閉店しました》になります。
「女神さまどうかお客様がきますように」
手を合わせて祈ってから、鍵を開ける。
『カラン、カラン』
いきなり一人目のお客さんだ。恰幅のいい、おじいさんが入ってくる。
「少し早いかと思っておったが、丁度良かった。これから王都へ帰るので、早めに立ちたかったのだ」
「いらっしゃいませ」
おじいさんの後ろにはおつきの人が2人立っている。護衛も兼ねているのだろう、腰に剣をさしてます。どうやらこのおじいさんは貴族様みたい。
「オールド眼鏡を100ほど買いたい」
「どのような形のものがいいですか?」
いきなり100個です。おじいさん大丈夫ですか。
「いろいろな種類のを100個用意してくれ。 ん?これはなんだ?」
「眼鏡を収納するものとクリーナーと言って眼鏡の汚れを落とすものです」
「ふむ。これも同じ数だけ頼む。種類は任せる」
「ではこちらで適当に選びますね。奥の方から持ってきます」
鞄を持って奥の部屋に行きます。百均でオールド眼鏡とクリーナー、ケースを100個注文した。袋を用意してなかったのでレジ袋をいろいろな大きさで注文した。紙袋も20枚買っておいた。紙袋の一つにオールド眼鏡を入れて、二つ目にケースとクリーナーをいれた。3つ目に開店のプレゼントとして、マヨネーズと飴とクッキーのお菓子を数個入れておいた。貴族様にカップラーメンはやめておいた。
「白金貨10枚と金貨6枚になります。こちらは開店の記念品です。マヨネーズは野菜にかけてお食べください」
「良い土産ができた。この町に寄って帰ることにして正解だったな」
おじいさんは気前よくお金を払って、機嫌よく帰っていった。
「ふー。いきなり貴族様なんて緊張したよ」
でも売り上げがだいぶあったから、今日はもう誰も来なくても心配ないね。ゆっくりと本を読むことにしよう。
カウンターの下にさっき買ったレジ袋を並べておいた。袋がないと困るよね。気づいてよかったよ。




