表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/314

168 ヴィジャイナ学院で出店 4

   

 とりあえず厨房のおばさんにサンプルとしてカレーやシチューやうどんや棒ラーメンを渡した。作り方は袋の裏に書いてあるのから大丈夫だろう。気に入ってくれればギルドを通して注文がくる。


「ご飯は 売らないのか?」


 タケルが聞いてくる。


「ご飯だと割高になるでしょう。ここは無料で提供してるみたいだからね。特にこのくらいの年齢の子供っていっぱい食べるでしょ〜、ほらあの子パンをいっぱい食べてる!」


 やっぱりご飯だと追いつかないよ。パックだから割高だもんね。


「パンでもありかな。俺はご飯の方がいいけど、この世界の主食はパンだからな」


「カレーライスに拘らなくてもいいよね。クリリがどうしてもカレーをご飯で食べたいんだったら、パックのご飯を持って来ればいいんだし」


 クリリはなんでも自分で出来る子だけど、学校に通えば忙しくなると思う。三食食べるれ学生食堂には栄養とか考えたら絶対に通って欲しい。


「ナナミさんはクリリのことすごく気にしてるんですね」


 クリス様が不思議そうだ。なんでだろう。私にとっては当たり前の事なのに。


「クリリはここに来て初めての友達なの。私が一番困ってた時に助けてくれて、ずっと一緒にいてくれたんだよ。もう私にとっては家族だね」


「家族ですか....それは素敵ですね」


 家族はお互いが助け合うものだと思う。だから今度は私がクリリを助けるの。学校に通わなくても、私の店で一生働いていくことはとても簡単。でも私は知ってる。クリリが本当は色々な事を学びたがってることを。きっとお金がない孤児だからってずっと昔に諦めて、それでも諦められなくてコッソリ勉強してた事も気付いてる。

 そんな子供はクリリだけじゃないって事はわかってるよ。クリリのいた孤児院にだって夢をあきらめてる子供はいると思う。でも全員を助けるのは無理。私は私の家族であるクリリだから助けるのだ。遠慮しないように陰ながら助けるだけだけどね。



 店に戻ってクリリたちと店番を代わった。昼時ということもあって他の食べ物を売ってる店にお客さんが集中してるようなので、ここはタケルとクリス様と私の三人で回していく。


「この時計の使い方がよくわからないんですけど....」


 時計を買った学生から聞かれて、


「タケル、任せたよ」


と説明はタケルにしてもらう。べ、別に分からないわけじゃないよ。ちょっとメンドーなだけだもん。


「オールド眼鏡はないですか?」


 四十代くらいの女の人が小声で聞いてくる。まさかオールド眼鏡が売れるとは思ってなかったから店に並べてなかった。急いで百均で三個ほど選んで並べた。女の人は三個とも素早く取って私に渡してくる。どうも学生に見られたくないみたい。気持ちはわからないでもないので、サッと袋に入れて会計も済ませた。


「あれ、先生も買いに来られたんですね」


 クリス様が驚いたような声を上げた。


「ええ、有名な店ですから....ではまた」


 先生は慌てて去っていった。きっとクリス様がいない時を狙って買いに来たんだね。

 そろそろお昼も終わったのかまた買いに来る人が増えそうだ。あっ、クリリが走って帰ってきてるよ。そんなに急がなくていいのになぁ〜〜。










 
















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ