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166 ヴィジャイナ学院で出店 2

  

 クリス様に案内された場所はテントが張られた屋外の運動場だった。沢山のテントの下ではもう食べ物を売り始めている店もある。とても良い匂いがする。

 なんだかセルビア国の市場で売った時のこと思い出すなぁ。


「ここです。商品が多いので広い場所にしました」


 うん。置く場所が多い方がいいから助かったよ。でもそんな事より気になることがあるんだけど.....。


「あれって何です?」


 制服を着た若者たちの長い列が.....。悪夢の再来? なんか開店一周年セールを思い出すんだけど。


「混雑しないように整理券を配ったんですよ」


 褒めて欲しそうな顔だけど、整理券って学校なのにいったい何人いるのよ。ちょっと考えが甘かったかも。


「ナナミ、呆然としてても減るわけじゃないから、商品を並べた方がいいぞ」


 タケルに言われて慌てて鞄から商品を取り出す。コレットさんとクリリが決められていた位置に並べていく。


「その鞄って空間魔法が使われてるんですね」


「いくらでも入るから便利ですよ〜商売人には必需品です」


 それにしてもどうしたものか。計算する人がもう少し欲しいな。クリス様なら手伝ってくれそうだけど、頼んでもいいものか......貴族様の取り扱いってよくわからない。


「あれ?」


 クリス様が声を上げた。


「何かありました?」


「列に並んでないけどこっちを見てる生徒がいるでしょう? あれってうちの寮の生徒なんです。何を見てるのかな?」


 クリス様は手を上げてその生徒を呼んだ。三人の生徒は足早にやってきた。上級生のお召しには逆らえないんだね。


「どうしたんだ。買うんなら列に並べよ」


「いえ、僕たち奨学生には手が出ませんよ。でも『マジックショップナナミ』にどんな商品があるのか気になって見てたんです」


 彼らは奨学生のようだ。余分なお金は持ってないから、何も買う予定はないと言ってる。この子達、使えないだろうか? 今日の予定もないみたいだしいいよね。


「あの、君達この店でお手伝いしてもらえないかしら。思ってたよりお客さんが多そうで困ってるんだけど」


「「「「えっ?」」」」


「生徒を使うのってダメなの?」


 クリス様を含めて四人が驚くから尋ねる。


「いえ、それは構いません。私も手伝うつもりですから。ただ、お金のやりとりは禁止されてます」


「僕たちは近くで商品を観れるだけで楽しいので、ぜひ手伝わしてください」


 三人に頭を下げられた。でも無料で手伝ってもらうのも悪い気がする。


「じゃあ、売れ残った商品から好きなものをあげるのはいいのかしら」


「それはお金ではないので良いと思います。本当に彼らを使ってくれるのですか?」


「ちょうど良かったです。これならお昼の休憩も取れそうだしとても助かります」


 三人とも初めて見る商品に目を輝かせている。クリス様も手伝ってくれようだから、四人に電卓の使い方を教えた。四人とも初めて見る計算機にとても驚いている。こっちの計算機ってそろばんのようなものだけだから驚くのもわかる。コレットさんもクリリも初めは驚いたもんね。でもクリス様の前では使ったことあるんだけど、よく見てなかったのかな。

 さすがに頭の良い学校に通っている四人だから、計算機の扱いもすぐ覚えてくれて、商品の値段も暗記してくれた。素晴らしいね〜。

 







 









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