160 開店一周年セール 1
『開店1周年セール、本日全商品三割引き』
立て看板はクリリに手書きで作ってもらった。注文しようとしたら、一回しか使わないのにもったいないと言われた。
「どのくらい買いに来てくれるかな〜」
「想像もつきませんね」
「すっごく多いよ〜」
クリリとコレットさんには通常より早めに来てもらってる。
「なんか昨日より新しい商品も増えてますね。この剥き甘栗って美味しいんですか?」
コレットさんがカウンターの横に置いてある剥き甘栗を不思議そうに見てる。
「この栗って剥くのが大変なの。栗って美味しいけど剥かないと食べられないからこの剥き甘栗ってよく売れるのよ」
栗ってここにはないのかなぁ。これって食べだしたら止まらないんだよね〜。
「このチューインガムってなに?」
クリリはガムが気になるようだ。
「ガムってここで売れるかわからないけど売ってみようかと思ってるの。このように噛むだけで顎に力がついて噛む力がついたりするんですよ〜」
ちょっと大げさかな?
「噛む力って...ナナミさんゴルギーの肉も噛みきれないのに...」
私は人間だからね〜。そうかあ〜獣人にはガムってどうなのか考えてなかったよ。普通に噛み噛みできるのかな。クリリガムを渡して噛んでもらった。
「クチャクチャ....美味しい...でもこれってずっと噛むだけなの?」
「飲んだらダメだよ。こうやって空気を入れたら風船ができるんだよ〜。見ててね〜」
風船を作るとクリリの目が真ん丸くなった。
「すご〜い。俺もやってみるよ〜」
残念ながらクリリは開店までに風船は作れなかった。私の説明に問題があるのかも。後でタケルに聞いてみてね。
さあ開店だよ〜。
『カランコロン』
という音と共に大勢の客が押し寄せてきた。さすがに人を押しのけてまで入ってくる人はいないけど、これは......予想よりだいぶ多いかも。
「「「いらっしゃいませ〜」」」
やっぱりカップ麺やジュースを買う人が多い。砂糖や塩もどこよりも安く買えるのでそれだけが目当ての人もいる。たくさん補充したけど足りそうにない。これはヤバイ。口コミを馬鹿にしてたかも。
計算や袋入れはコレットさんとクリリに任せて、私は商品の補充に徹した。昼からなら売り切れたでもいいけど、まだ開店したばかりだからね。
「マヨネーズもう棚にないよ〜」
「今補充しまーす。少々お待ちください」
マヨネーズを大量買いした人がいるみたい。さっきまで沢山あったのに。
「オールド眼鏡も安くなるんですか?」
「はい。ここで売ってる商品は全て三割引きになりますよ」
「三割ってどのくらい?」
「オールド眼鏡は銀貨七枚です」
「そんなに安くなるんですか。これも買いだな」
冒険者風の男は手に持ちきれないほど商品を抱えてる。商品入れるカゴとか用意しとけば良かったね。来年はもっと計画的に行かねば......。
「タオルの大きいの欲しいんだけど〜」
「はーい。今いきまーす」
「塩胡椒ってどこ〜」
「はーい、今いきまーす」
来年はもっと......。