153 レストランの開店準備2
「お皿は白で統一したほうがいいかな。それともラーメンはラーメン皿って分かる方がいいかしら。タケルはどう思う?」
包丁二本と従業員の服とか魔石で使うレンジやオーブン、そして業務用の大きな冷蔵庫に冷凍庫、おまけにマジックボックスまで用意されてた。マジックボックスといっても私が持ってるのとは違って容量が決まってる。作り置きが必要かも知れないからと用意されてた。普通作り置きだと新鮮でないとかいろいろ問題があるけど、マジックボックスに入れてたら作った時と何も変わらない状態でお客さんに提供できる。プリーモさんって気がきくよ。
「うーん。俺はどっちでもいい。それよりこの小さいプラスティックの茶碗とか何に使うんだ?」
「取り皿よ。子供の時ラーメンって熱いから取り皿で冷まして食べてたでしょ?」
「ああ〜。そう言えばそんな気がする。でもこの自動車の絵とかはダメだろう。動物モノの方がいいと思うぞ」
そうだった。新幹線と自動車って何が書いてるかわからないよね。でも返品って出来ないからこの茶碗どうしよう? 店の方で格安で売るしかないね。
「ラーメンは箸で食べて欲しいけど無理そうだからフォークもいるよね。あとスプーンと水を飲むコップかな」
「お皿とかもプリーモさんに任せれば良かったンじゃないか?」
タケルが百均の皿を見ながら言う。
「百均で買えるものは自分で用意するよ。自分の店なんだから、プリーモさんにばっかりに任せてたら乗っ取られちゃうでしょ〜」
「有り得るな」
「いや、冗談だよ」
ランチョンマットもいいのがあったから買っておいた。本当に百均って色々あるよね。
「ナナミさん、大変だよ〜」
今日は開店二日前。クリリにも手伝いに来てもらってる。『マジックショップナナミ』の方はコレットさんに頑張ってもらってる。クリリはなんでもそつなくこなすから、カレーもラーメンもシフォンケーキでさえこの短期間で上手に作れるようになったのだ。特にシフォンケーキは泡立てが大変なんだけど(この世界には電動泡立て器がないから)クリリに頼むとあっという間にメレンゲされるから、あら不思議。そのクリリが慌ててるって珍しいね〜。
「何かあったの?」
「注文間違えたらしくってポテポテとコッコウ鳥肉がいっぱいだよ」
それは大変だよ。私も慌てて見に行くと倉庫いっぱいにというか入りきらないくらいポテポテが......コッコウ鳥の肉も冷蔵庫に入りきらなかった分が調理室の台の上に置かれてる。
「肉は冷凍庫にも入れたんだけどこれ以上は無理だよ。マジックボックスに入れる?」
マジックボックスにいれても容量が限られてるしなあ。私のカバンが無限だからとりあえずいれとこうかな。
「でもどうしてこんなことになったの?注文書は確認したけど間違ってなかったのに。注文書は控えもある日本のを使ってるから間違いない。
「これだよ。これ見させられたんだけど......」
クリリに見せてもらうと明らかに改竄の跡がある。嫌がらせだね。これは高級レストランの人に渡してもらったんだけどこんな事をされるとは。これからは間に人を置かないほうがいいね。業者が悪くないんだから突き返す訳にもいかないから私のカバンに入れるべきか。でもなんか悔しい。なんか良いアイデアないかなあ〜うーん。
「あっ! いいこと思いついたよ。うん、これなら多分大丈夫......かな?」




