14 本屋に行こう
今日は看板が設置される日だ。ということは明日は開店。
布団も昨日配達してもらったので今日からここで生活することになる。宿屋も今日でチェックアウトしたよ。
なんやかんや用事があって、忙しかった。昨日は商業ギルドで《小店舗の為のセミナー》という講義があるというので参加してみた。難しい話が多くよくわからなかった。参加した人の半分は途中から眠ってた。私もうとうとしたよ。
この町には図書館はなく、本屋兼貸本屋が一軒だけあるという話を聞けたのが一番、ためになる話だった。
「やっぱり常識がよくわからないから、本で学ぶのが一番だよね。あんまり変なこと聞いて怪しまれると困るし」
というわけで、今から本屋に行こう。 看板の設置? 朝早くからきてくれたおかげで、先ほど終わったよ。
本屋は商業ギルドの近くにあった。私が通る道の反対側だったから、今まで気づかなかった。
《猫の貸し本屋》
どうやら猫の獣人さんがいるみたい。とっても楽しみ。
カランカラン。ドアを開けて入ると音がなった。これは私の店にも付いてるから、店舗共通の音なのかな。
カウンターには若い猫耳の女の子が座ってる。でもどうやら眠っているようで目が閉じられてる。ふふふ、やっぱり猫さんだね。
私は魔法の本を探すことにした。でもいろいろな本があって目移りする。この国の歴史も読んでみたいし、魔獣の絵本もみたいな。地図もあったよ。
「どんな本をお探しですか?」
どうやら猫さんは起きたようです。
「魔法の本を探してます。できれば初心者用がいいです」
「それでしたらこちらになります」
猫さんは二冊の本を選んでくれた。中を拝見すると絵もあってとても読みやすい。紙の質は良くないけどとても丁寧に製本されてる。
「あとこの国の歴史と地図もお願いします」
猫さんは楽しそうに尻尾をゆっくりと揺らしながら後の二冊も選んで渡してくれる。
「貸し出しと買い取りがありますが、どちらにしますか? この4冊とも奥に在庫があるので今すぐお持ち帰りできます。在庫がない場合は注文になるので5日ほどかかります。」
「買い取りだといくらになりますか?」
「この本は全部で金貨3枚と銀貨6枚になります。貸し出しは1日一冊銅貨2枚です」
明日から開店だし、本を読む時間があるかわからないから買い取りが無難だよね。高いけど、投資だと思えば安いものだし…。
「買い取りでお願いします」
「ありがとうございます」
奥の方から新しい本を4冊持ってきて、包んでくれた。売れたのが嬉しいのか尻尾がピンと垂直に立ててる。
「この店の娘で、ベスです。これからもよろしくお願いします」
「この先にあるマジックショップのナナミです。明日開店なので、こちらこそよろしくお願いしますね」
女神さま、異世界で初めての友人ができるかもしれません。




