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139 ベリートリア国①

  

「ほう、これが噂のカップラーメンか」


「何も今じゃなくても良かったんじゃないか? カホ様も沢山買って帰ったんだからいつでも食べれただろう」

 

 タケルが呆れたようにサイラス様に言った。

 サイラス様は金髪碧眼の王様だった。キンキラキンだよ。カホ様ってメンクイだったのね。


「とにかく忙しくて夕飯の時に話せる時間が作れるくらいなんだ。とてもカップラーメンを食せる時間はなくてな。今日が来るのが待ち遠しかったぞ」


 一ヶ月で結婚式をするってやっぱり大変なことなんだね。ルイスさんも私の衣装を揃えるのに苦労したみたいだった。私はタケルの魔法で来たから移動時間はかからなかったけど、他の国の人はどうするのかな。


「三分たちました。食べてもいいですよ」


 カホさんが砂時計の砂が全部落ちたのを確認してサイラス様に声をかけた。

 サイラス様は箸を上手に使って食べだした。

 音を立てることなくするすると麺を食べ、スープを飲む。


「これは上手いな。三分で食べれるというの画期的だ」


「このクリームソーダも飲んでください。オススメです」


 カホさんがペットボトルの蓋を開けてサイラス様に勧めている。


「ここから直接飲むのか?」


 ペットボトルを不思議そうに見てる。ペットボトルを初めて見る人はみんな同じ反応をする。


「甘いが、今まで飲んだことのない味だ。カホはこの味で育ったのか。この国に来て初めは何を食べても美味しいと言わなかったのも仕方のないことだったのだな」


「いえ、あれはただの我儘です。あの頃の自分を思い出すと恥ずかしいです」


 カホさんは頬を染めてもう言わないでくださいと言ってる。サイラス様はとてもカホさんの事を大事にしてる。これなら大丈夫だね。


「ナナミさんの店はもう増やさないのですか? 出来ればこの国にも出して欲しいですね。カホの為にも考えてくれると嬉しいです。店舗はこちらが用意させていただきますよ」


 え? それって店舗は無料で貸してくれるってこと? カホ様の為ならってことかな。おいしい話だけどさすがに無理かな。二号店にしてもプリーモ店にしても商品をおろしてるだけ。従業員を雇って経営してるわけではない。従業員を新しく雇うなら信頼できる人でないと任せられないし、私がここで目を光らせるってわけにもいかないし.....どう考えても無理だよね。


「難しく考えないでください。返事は急ぎませんからゆっくり考えてください」


 私が即座に断ると思ったのか、カホさんが慌てて口を挟んできた。ああ、そうか。この場で返事をしなくていいんだ。


「そうだな。店を出すっていうのは大仕事だから、色々と考えて返事をしないとな。店舗を用意してくれるって言っても場所がどこなのか聞いてからにしないと後悔することになりかねない。ゆっくり考えてから決めればいい」


 タケルにも言われたので返事は後日ということになった。みんなとも相談してから決めよう。

 サイラス様とカホさんにこれからの予定を聞いてお開きになった。二人とも大忙しなんだね。


「今日は予定もないみたいだし、どうする?」


「そうね〜、お土産も買いたいから店がいっぱいある所に行きたいわ」


「屋台の食事が結構美味しかったから行ってみるか」


 タケルは少し考えてたようだが私の手を取るといつものように転移した。私も慣れてきたのか白い光に包まれてもまたかと思うだけになった。今度はどこに出るのかな。








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