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119 久しぶりの商業ギルド


「忙しいのに時間とってもらってすみません」


「大丈夫ですよ。それより今日は何かありましたか?」


商業ギルドの中だからか、ショルトさんがいつもより丁寧な言葉になってる。


「実はウイングドキャットを飼うことになったので、この間話してた家の買い取りを至急した方がいいのではと思ったんです」


実は家の買い取りの話はずいぶん前から提案されてた。前の住人が王都で所帯を持ったけど初めは売却を拒んでた。それで条件の合う私が借りてたんだけど、最近になって売却したいと言ってきてたのだ。王都に来てしばらくすると気持ちも落ち着いて売る決心がついたという話だった。その話が来た時も家を買い取るくらいのお金はあったけど、あまりに大きな買い物なので躊躇していた。でももう家族もできたんだからマイホーム購入しないとね。


「ウ、ウイングドキャットですか? あれって家に住めますか? 大きいから入り口から入るの無理でしょう?」


ショルトさんが変なこと言ってるよ。


「そんなに大きくないですよ」


このくらいですとジェスチャーで伝える。


「それはまだ子供ですよ。成長したら竜くらいになりますよ。人を乗せて空を飛ぶんですから小さかったら無理でしょう」


人を乗せて空を飛ぶ? いえいえ、無理だよ。


「ってことは今も空を飛べるんですか?」


「それは飛ぶでしょう。ただ猫ですからね。気まぐれな所があるから、飛んでくれって頼んでも寝てるとか聞きますよ」


あんまり役にたたないね。私はいいけど飛ぶことが目的で飼ったのに飛ばなかったら困るだろう。さすが猫だよ。ーーーってそれどころじゃないよ。竜みたいに大きくなるって聞いてないよ。タケルめ〜肝心な所を誤魔化したな! とは言うものの名前まで決めたかわいいうちの子を今更手放せない。どうしよう......。


「そんなに大きくなるとさすがにあそこで飼うのは無理ですね。どうしようかしら? どこか良い物件ありますか?」


タケルの家みたいに庭があったらいいかも。でも通うの大変になるか。


「そうですね。タケルさんの家の近くに丁度良い物件がありますよ。家はそれほど広くないですが大きな納屋があるのでそこを改造したらウイングドキャットも住めますよ」


「別にタケルの近所でなくていいですよ」


「近い方が安全ですよ。女の一人暮らしは危険ですから。今の所は騎士の方々の巡回が夜もあるから安心ですけど、今度のところは少し遠くなりますからね」


ショルトさんが怖いことを言う。忘れがちだけどここは異世界。平和な日本とは違う。引っ越すまでに魔法を習うか、そういう魔石を用意しとこう。


あれ? いつの間にか2つも家を買う話になってるよ。店舗も必要だから買わないとだし、大丈夫かなぁ。


「まあ、今はまだウイングドキャットも小さいから、移るのは大きくなってからですかね。やっぱりあそこから通うのはウイングドキャット利用した方が便利ですから、ナナミさんを乗せられるようになってから移動するのが良いですよ」


サラリとショルトさんが爆弾発言。え? 私がティーグルに乗って空を飛ぶの? それはファンタジーすぎるでしょう。絶対無理だよ。


「あれ? ってことは今も飛べるってことですよね? いなくなったら困るんだけど迷子にならないようにハネを切った方がいいのかしら?」


「は、は、ハネを切る〜ぅ!?!」


ショルトさんが突然大きな声で叫ぶからみんなが一斉に私たちの方へ振り向いて来た。そんなに変な事言ったかな?


「えっと、ペットの鳥とか飛んでかないようにハネを少し切るじゃないですか。そういうの思っただけなんですけど......変な事言いました?」


ショルトさんはマジマジと私を見てため息をついた。


「いいか、ウイングドキャットのハネは切ったら血が出るぞ! それに2度と生えてこない。絶対ウイングドキャットには言うなよ。あれは人間の言葉がわかるって話だからな。嫌われるぞ!」


一気に言葉使いが荒くなってます。そうかぁ。ティーグルのハネは身を切るってことになるのか。恐ろしい事言っちゃったよ。ティーグルごめんなさい。嫌わないでね。でも迷子になったらどうすればいいの?


「ウイングドキャットは賢いからな。飼い主と契約したらどんな所にいてもわかるって話だ」


さすがですショルトさん。やっぱりショルトさんは物知りだったよ。これからも困ったときはショルトさんに話に来よう。




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