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109 夏祭りークリスside



「父上、今年も行くのですか?」


「もちろんだ。今年も野菜や果物を買いに行く」


「私も行きたいです」


「そうだな。一緒に行くことにしよう」



我が領地で行われる夏祭りは王都からわざわざ訪れる人がいるほどだ。今年はさらにマジックショップナナミ目当ての客も増えるだろう。

王都で行われる夏祭りに比べたら規模は小さいが俺はガイアで行われる夏祭りの方が好きだ。



「すごいな。まだ始まったばかりだというのに人があふれてる。大丈夫なのか? 」


「大丈夫ですよ。臨時で冒険者も雇ってもらえたので警備の方は問題ないです」


騎士のノエルさんが答えてる。俺たちは変装してるので、ノエルさんは離れて護衛する事になってる。変装してるから護衛もいらないと思うんだけどね。


マジックショップナナミには残念ながらナナミさんの姿はなかった。だが食べたことのないかき氷とかいうのが売られてた。早速買ってみた。

俺は《店長のオススメ》と書かれてるイチゴの練乳がけで父は抹茶のあずきがけ。食べ方は簡単。ストロースプーンで食べる。溶けたらそのストローで飲むそうだ。冷たくて美味しい。氷がこれほどふわふわして美味しくなるとは、暑い夏にぴったりの食べ物だ。


「このかき氷はすごいな。王都でも売って欲しいものだ」


「プリーモ商会がナナミさんから許可をもらったと言ってたので、夏祭りが終わったら王都の方でも売るそうです。それにマジックショップナナミで小さいかき氷機が売ってるので家で作ることも可能だとナナミさんが言ってました」


「いつ聞いたのだ?」


「あーゴホッ、昨日聞きました」


昨日馬車でガイアの街に着いた時はまだ昼過ぎだったのでマジックショップナナミに行ったのだ。そこで色々と聞いた。どうもプリーモ商会はナナミさんを喰い物にしてるようだ。タケル様が付いてるから大丈夫だとは思うがこちらでも気をつけなければ。


「プリーモ商会か。ーーまさかあの魔の森にホテルを建てるとは......タケル様に謀られたと言って嘆いていたが、あの商売人のことだ。儲けがないと判断していたら絶対に建てなかっただろう」


父の言う通りだ。ルイスさんは一見優しそうに見えるが一癖も二癖もある人物だ。ナナミさんが敵う相手ではない。


「魔の森を買いたいとタケル様に言われた時は驚きましたが、これで安心です。森にいた魔物は全部タケル様が排除したようです。あそこに魔族が棲み着いたらこの街がどうなるのか心配だったので良かったです」


「魔王を倒したとはいえ魔族が全ていなくなったわけではないからな。孤児がこれ以上増えないように騎士を増やしているが魔族が現れたらどこまで対処できるか......。孤児院にも予算を増やしたいが他との兼ね合いもあるから難しい。私に出来ることはこの夏祭りで孤児院の野菜や果物を買うくらいだな」


父の言葉に頷くことしか出来ない。継ぎ接ぎの服を着てる子供達。年々酷くなっている気がする。せめて服だけでもなんとかできるといいんだが......。


「食生活はナナミさんのおかげでだいぶ向上したようです。今回の夏祭りでは孤児院でもかき氷を売ると言ってたので今年はだいぶ稼げるのではないでしょうか」


「そうだな。領民の顔が去年までとは違う。魔王がいなくなって数年。今年の夏祭りは楽しめそうだ」


見渡すと領民たちの顔に笑顔がある。去年の夏祭りも同じく笑顔だった気がするが、父には笑顔の奥にある何かが見えてたのかもしれない。まだまだだな。父のように民の気持ちがわかるようにならなくては。


「ナナミさんに挨拶しておきたい。孤児院の方に急ぐぞ」


「はい。急ぎましょう。すれ違うとこの人混みです。なかなか会えませんよ」


この祭りは一晩中続く。ナナミさんとイベントも見に行きたい。急がないとタケル様に全部持っていかれそうだ。











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