103 露天風呂は必要か?
「平和ですね〜」
「ツアーの客はどうなったのでしょうか?」
警戒してたけど今のところツアーらしき団体さんは現れてない。
「ああ、なんでも団体を泊めるホテルを建設するのに時間がかかってるらしいぞ」
タケルがチョコアイスを食べながら言う。いつもここにいるのに、どこからそんな情報を得てるのかな。本当に不思議だ。
「この街の宿泊所では富裕層の方々から不満が出るでしょうから仕方ないですね。でもどこに建てるんですか?全然噂聞かないですよ」
コレットさんが不思議そうな顔でタケルに尋ねてる。
「この間行った温泉のある森だ。あそこ山になってるだろう。そんなに高い山じゃないけど景色がいいからあの上に建てるそうだ」
確かにあの森は空気もいいし温泉もあるしここからそれほど遠くない。でも確かあの森って魔物がいるって言ってなかった?
「最近あの森から魔物の気配が消えたって聞いてたけどタケルさんが何かしたの?」
クリリがタケルに聞いてる。そうよね、タケルなら魔物を何とかできそう。でも自分の利益にもならない事するかなぁ。
「あの温泉のところに建物あると便利だなって思ってたんだけど、プリーモ商会が魔法で建てるって言ってくれたから助かるよ。魔物がいたら建てるのやめるって言いそうだから狩りまくったぜ」
「えー! 俺も連れてってよ。狩りしたかったよ」
クリリがしょぼんとしてる。やっぱり男の子だな。
「魔法ならタケルも建てれるんじゃないの? パパッと」
私が手を広げてタケルに言う。
「俺は壊すのは得意だけど、細かい魔法は苦手なんだ。まあ、作れない事はないけどな」
タケルにも苦手なことあったんだね。
「でも温泉のある所まで結構あるけどどうやって行くの? 道路を整備して馬車で行くのかしら?」
「いや、転移門を作るって言ってたな」
転移門⁇ なんかお金かかりそう。プリーモ商会大丈夫かなぁ? 絶対儲けないよ。
「でもホテルが出来たらみんなで温泉に行きたいね。露天風呂とかあったらサイコーだけど、作るかな?」
「今度言ってやるよ。アイスをホテルに卸すって言ったら作ってくれるんじゃないか?」
え? それはちょっと。でも風呂上がりのアイスとか牛乳とかいいよね。自分たちだけで食べれないから、はじめっから売ってもらったほうがいいかも。
要相談だね。