プロローグ
寒さで目が覚めた。
「え?ここどこ?」
見慣れない風景と天井に驚いた。ベッドの上に寝ているのはわかるけど、ここがどこだかわからない。なぜか布団の上に寝ていたようだ。
自分の服にも驚いた 。ワンピースなんて着るのは何年ぶりだろう。しかもなんだかとってもシンプルなデザイン。そばにはカバンが置かれている。いつも使ってるカバンだけどなんだか少し違う気がする。触ってみて素材が違うことに気づいた。
私が買ったのとは違って、とても作りが良い。カバンを持ち上げると一枚の紙がベッドの下に落ちた。拾ってみると紙はごわごわとしていた。見たこともない紙だ。でも日本語で書かれている。
《あなたは選ばれました。この異世界で生活してください。
チート能力はあげられませんが、普通に生活できるレベルです。
あとあなたの日常生活で必要だと思われる百均とやらは使えます。
楽しい異世界生活を送ってください。
優しい女神さまより》
「何よ、これ、どういうこと?」
本で読んで憧れたことはあるけど、本当に異世界に来るなんて考えたこともなかった。
しかもチートがないなんて最悪としか言えない。異世界に転移させられたら必ず付いていると言われるチート能力。それがもらえないなんて。普通のレベルでどうやって生活するのよ。
呆然と紙を眺めていると続きがあるようだ。
《追記:いきなり無一文ではかわいそうなので多少ですが異世界で使えるお金も財布に入れてます。
優しい優しい女神様より》
追記2:このホテルのお金も10日分払ってるので安心してください。一泊二食付きの10日分です。
とっても優しい女神様より》
なんだかとっても腹が立ってきた。
「何が優しい女神様なのよ。優しい女神様ならもっとサービスしなさいよ」
文句を言ってると続きが出てきた。
《追記3:この世界の言語は全て話せる能力はつけてます。あと少しだけ魔法が使えます。努力すればレベル上がります。
こ、これ以上は追加できません。ステータス画面で確認してください。
優しい優しい女神様より》
「夢だ。きっと夢なんだわ」
都合が悪くなると寝る癖がある私は寝ることにした。きっと目が覚めたらいつもの日常に戻ることを願って。