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第八十五話 お祭り日和ちょっと前

 新学期といっても、やる事は休み前と変わらない。

 授業を受けて、放課後はケイトに構ってもらったり自室に帰って休んだり。休みの日は友人と優雅な一時を楽しんだり。

 概ね平和であり、平凡な学園生活。

 しかし、私はもう理解している。


 平和や平凡な日々というのは、その後に待ち受ける面倒の前触れであるという事を。



× × × ×



 日中の暑さをは打って変わり、夜は風も出てきてそろそろ秋の気配を感じ始める頃。

 学園内に漂う空気の変化は季節に関係あるようで無い、でもやっぱり季節柄の行事ではあるかもしれない。

 秋といえば、一般的に学園祭の季節でしょう。

 ただその中身は、世界一の金持ち学園規模なので。


「……オズ・フェスティバル?」


「マリアちゃん来た事ないの?」


「えぇ……一般の方も来られるのね」


「そうだよー、結構大きなお祭りだから」


 アヴァントール学園の学園祭は、まぁ勿論私の想定も想像も越えてきます。もう驚きません、むしろ私の想定内に事が収まる方が驚く。

 アヴァントール学園の学園祭なのにオズと銘打たれている時点で何となく想像出来るだろう。学園祭の括りではあるものの、正直別物な気がしなくもない。

 まず、学園は解放されない。正しくは学園内は解放されない。

 学園敷地内のオズタウンを舞台に、クラス別や部活、友人別で出し物をする。といっても自らがスタッフとなる事はなく企画進行だけ、ご子息ご令嬢に求められるのは行動力ではなくリーダーシップです。

 期間は四日、一日目は講堂で演劇などの鑑賞系。二日目三日目がオズタウンを使った販売系。そして最終日には様々なコンテストが行われる。

 高等部の学園際は別日で、普通に授業をしていたから全部の人生引っくるめて行った見た事無いんだよなぁ。


「二人は部活の方で出るのよね?」


「うん、うちのクラスは部活別出る人が多いからクラスではやらないかも」


「もし暇だったらうちの部手伝ってくれてもいいよー」


「冷やかしになら行ってもいいけど?」


 どうやら今回は私にする事はないらしい。だから学園際をやる事は知らされても、出し物についての話し合いがなかったのか。

 お祭りは楽しむが吉。多少暇を持て余したとして、友達の部活を訪ねていれば終わるだろう。

 学園際の事を聞いた時は焦ったけど、考えすぎだったかな。抜く特は抜かねば、緊張感を持ち過ぎるといざという時に役に立たなくなる。

 ……役に立った事が無いなんて事はない、探せば有るはず。


「でもマリアちゃんならオズコンに推薦されるんじゃない?」


「へ……?」


 オズコン、正式名称『オズ・コンテスト』。

 簡潔的確に説明するとミスコンです。本来なら外見だけでなく知識とか、立ち振舞いとか全てを加味した上で素晴らしい女性を決める大会だったはず。

 でもオズコンは、所詮学園の中のイベントの一つなので。ただ見た目が綺麗な人を学年問わず選出して投票で一番を決めるっていうシンプルな物。

 実は、私出た事あるんです。オズコンは色んなコンテストがある中でも一番盛り上がるから、高等部でも同じ様に開催される。オートモードの最中、自信満々で出場してヒロインに次ぐ二位を獲得しました。

 誰のルートだったか……ルーナとツバルは生徒会として運営側に回ったはず。サーシアは確実にあった、青春しまくってたし私は邪魔しまくったから。

 

 なので、コンテスト自体は別に驚かない。乙女ゲームのイベントですし、ヒロインの可愛さを際立たせるのには最高の舞台。

 なので私の驚きはそこではなくて。

 今、推薦とか仰いました?え、あれって自薦じゃないの?因みに私は自薦でしたよ?

 学園入学から四年連続一位、今年も優勝確実ーとか言われてたのに、突然人数が足らなくなったとかで出場したヒロインに一位かっさらわれましたよ?


「オズコンの推薦って……誰がするの?」


「うーん……友達が多いみたいだけど、たまに生徒会にそのまま匿名とかでもあるみたい。勿論審査は厳しいからどちらにしても簡単じゃないけど」


「後は参加人数によって生徒会や実行委員自らっていうのもあるらしいよー」


 本当にこの二人は色々とよくご存じで助かる。私が知らなさすぎるのかも知れないが、学園行事に関しては部活で先輩とも接する彼女達の方が精通していてもなんら不思議はない。


「私だったらマリアちゃんを推薦するなぁ」


「されたら即座に辞退するわよ」


 友達からの推薦ならこの二人が最重要、今の内に全力で止めておかなければ。

 

「分かってるよー、マリアちゃん目立つの嫌がるもんね」


「あたしも実行委員に頼まれたけど、断っといた」


「……ありがとう」


 本当に、心から、ありがとう。自分をよく理解してくれている友人に恵まれて本当に幸せです。


「でも私達以外からの推薦とか、生徒会からとかの可能性もあるからね?」


「えぇ、分かっているわ」


 めっちゃフラグなんで出来れば言葉にしないで欲しかったけど、今回はそこまで激しい嫌悪感はない。他のフラグに比べたら大した事無いって思うからかな。

 私を推薦する人の有無はともかく、もし仮に推薦されたとして私が優勝すると決まった訳じゃない。

 そりゃかつては優勝してましたけど、あれはマリアベルの容姿に加えた取り巻きのお陰だったので。

 いくら大盛り上がりのコンテストとはいえ、興味ない人は勿論いる。そんな人達は一番大騒ぎに応援されマリアベルくらいしか記憶に残らないから、コンテストの趣旨に関係なく投票します。

 改めて思い出すと、反則技見たいな勝ち方。これで四年連続……まぁ、元々の容姿も人並み外れているのは確かだから。少なくともコンテストに出場出来るくらいには美人。


「それは万が一推薦されたら考えるわ。それより、二人の所は何をするのか決まっているの?」


「手芸部は毎年作品の販売するんだって、場所の交渉とかは担当の先輩達がやってくれてるよ」


「うちは何にも。陸上だけじゃなくて、運動系はこういう時悩むんだよね」


「ふふ、楽しみにしてる」


 そういえば、ケイトは部活とクラスどっちに出るのかな……出来れば部活の方が良いなぁ。ルーナ達は生徒会の方に行くとしても、あんまり近付きたくはない。

 放課後にでも聞きに行ってみよう、どんな事をするのかも興味があるし。


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