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第五十話 絶叫マシーンなら好きだけど

「はぁ……!?」


「マ、マリアベル様……?」


 私の一言に二人ともがギョッと目を見開いた。

 うん、ごめんなさい。自分でも暴言だなぁと思うんだけど、別に悪口のつもりはないです。純粋な疑問と言うか、感情?

 少女漫画でも乙女ゲームでも、身分違いの恋愛模様を描く際にはよくあるワンシーン。大抵は男女間のやり取りだけど、その辺はスルーで。

 悪女に吹き込まれたデマに落ち込んだヒロインが王子様の為と身を引こうとする。ルーナ王子のルートで見たやつ。あの時ヒロインにある事無い事……九割無い事を吹き込んだ私が女の子相手とは言えあの時のヒロインと同じ立場になろうとは。

 ただ私は、あの時のヒロインの行動に対して疑問に思っていた事がある。


「だってエルメールは、自分が私の評判に影響するだけの人間だと思っているのでしょう?」


 まるで相手のためを思っているかの発言だが、客観的に聞いていると自分はそれだけの価値があると言っているようにも聞こえる。

 勿論ヒロインは(マリアベル)に色々吹き込まれていた訳だし、マリアベルは二人を引き離すのが目的だったんだからその対応はある意味正解なんだけど……エルメールの場合、誰にも言われてないよね?

 ただ周りの視線にネガティブキャンペーンに入っただけでしょう?


「気を使う事と思い込みは別物だわ。そしてあなたのはただの思い込み、私は一縷もそんな事を望んではいないもの」


 勝手に落ち込むのはエルメールの自由。当たられたら苛立つけど、エルメールが一人で考えて行動するならそれは彼女が責任を持ってやれば良い。

 でも今回のは、私の為と気遣う振りをして私に責任を押し付けているだけだ。

 エルメールがそれを自覚しているかは分からないけど……多分してないんだろうな。

 本気で悩み、考えた上で最善の行動をとったと思っているのだろう。

 でも言葉や行動の善悪を決めるのは行った側ではなく受け取った側、今回の場合は私ね。


 私からすると、そういう面倒くさいのはいらないんで破棄させていただきます。


「平民と一緒にいると言うだけで落ちる評価なら、たとえ一緒にいなくても適当な理由で落ちるわ。それはあなたがどうこうではなくて私自身が見くびられているからよ」


 評価と言うのはそう言うものだ。

 落ちる時は何をしたって落ちるし、落ちない時は何もしなくたって落ちない。人の感情が移り変わるのと同じくらい人の評価は多面的で変化しやすい。

 つまり、気にするだけ時間の無駄。私の様な計画性に欠ける人間には特に。

 そして私が平民を遠ざけない一番の理由は。


「私、幼馴染みがいるの。家の庭師の息子で一つ歳上なんだけど……属性持ちで昨日一緒に入学したわ」


「属性……って、噂の?」


「えぇ」


「庭師の息子……って事は」


「勿論、平民ね」


 平民を遠ざけると言う事は、ケイトを遠ざけると言う事だ。

 

「私にとって幼馴染みは掛け替えのない存在なの。一番信頼できるし、信頼されていると自負もしているわ。それなのに『平民』を理由にあなたを遠ざけたらそれは同時に大事な幼馴染みも失う事になる」


 そんなの、冗談じゃない。

 赤の他人の評価とケイトなら、考えるまでもなくケイトの方が大事だ。


「だから私は身分を壁にする気はないわ。勿論身分なんて関係なく、エルメール自身が私に好感を持てないのなら仕方がないけれど……」


 結構好き勝手言ってるし、嫌われたなら確実に私が悪いと思う。別に悪口のつもりは無いけど……それは受け取った側が感じる事だし。

 でももし『身分』が交流の壁になり得ると思っているなら。


「貴族だからと平民を遠ざけるのも、平民だからと貴族と距離をとろうとするのも、結局は同じ事だと思うけど?」


 貴族が遠ざけたから、でもそれと同じだけ平民が距離をとったから。

 広い視野で客観視すればどっちもどっちで、喧嘩両成敗な話ですよ。意味はニュアンスで把握して。

 私側は、受け入れ体制万全なので。

 後はエルメールの判断に委ねるしかない。

 これで駄目だったら一気にプリメラとも距離出来そうで怖いなぁ……友達作りってスリリングですね、絶対間違ってるけど。


「今日の所は、私は別で食べるわ。色々言われて混乱も怒りもあるでしょうし……ただ、私は二人と仲良くしたいと思ってる事だけは覚えておいて下さいね」


 そう告げて、私は席を立った。

 すでに料理は頼んじゃってるから食堂を出る訳にはいかないけど、出来るだけ離れた席に座れば問題無いだろう。広いし、この食堂。

 移動する時沢山の視線がついて来たのが分かったけど、無視の方向で突破した。

 エルメールが言っていたのはこれか……。


 結局その日、お昼の後も二人と話す事はなく、入学二日目は終了した。

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