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第四十七話 グレイ先生ありがとう!

 プリメラ・エルガちゃん。私の隣人で友人、候補。

 何とか名前を知る事は出来たが、ここからが本番だ。


 さて、どうやって仲良くなろう。

 

 色々お話しようにも話題がない。ゲームでは影も形も出て無かったよね、確か。

 ゲームでのマリアベルの友人は、分かりやすく『悪役令嬢の取り巻き』たる面々だった。

 マリアベルよりも劣る容姿と身分。しかしその他の一般生徒よりは格段に派手で、集団行動を重んじ絶対の上下関係がある。個性は殺してなんぼ、リーダーより目立つなんてもっての他。

 そして何より、虎の威を借る狐の如く権力の下威張り散らす。

 ゲームの終盤でマリアベルが堕ちた途端、今までの非道な行いは全て「マリアベルの命令だった」と叫び、十人以上いた友人(とりまき)は一人残らず華麗に手のひらを返していなくなった。

 類は友を呼ぶって本当だよね。マリアベルもクズだ外道だと思うが当時の友達も負けず劣らず最低だと思う。少なくとも、六周目まで友達やりたいとは思わない、皆無!

 人数が多くて全員把握してた訳じゃないけど、とりあえず覚えている元友人は同じクラスにはいなかった。三クラスしか無いんだから私が覚えていないだけだろうけど。


 さて、前回までの復習はここまでにするとして。

 どうしようかなぁ……よく考えたら自分から友達作ろうとした事ないんだよ、マリアベル。今まで勝手に取り巻きが湧き出て来てたから。


「…………」


「……?」


 あれ……何かめっちゃ見られてる?


「……あの、何かしら?」


「え、ぁ……っ」


 私に言われて初めて気付いたらしい。ハッと驚いた表情をした。

 私を見てたって言うよりは……何だ、私の背後?


「ご、ごめんなさい、不躾な事を……」


「大丈夫よ、気にしていませんわ。ただ何か付いているのかと思って」


 もしくは考え過ぎて変な雰囲気背負ってたか。


「いいえ、そうでは無くて……あの、髪飾りが」


「髪……?」


 思わず芋けんぴが思い浮かんだけど、すぐに気の迷いだと消去した。芋けんぴとかまずこの世界に無い、多分。

 今日私が着けている髪飾りは昨日グレイ先生から貰ったスイートピーのバレッタ。 ハーフアップにすると私の頑固な天然パーマも少しは押さえられてる、気がする。気がするだけでけど。


「凄く可愛くて、つい見てしまいました」


「まぁ……ありがとうございます」


「スイートピーですよね、それ。花言葉は確か……門出」


「えぇ、知り合いの方から入学のお祝いに頂いたの」


 女の子な会話だ、私、女の子な会話してる!

 話相手がもっぱらケイトだから新鮮だ。

 ……あれ、でもケイトとも花の話よくしてるか?勉強もあるけどケイト自身園芸好きだから。


「プリメラ様はお花にお詳しいのね」


「い、いえ、詳しいと言う程では……!」


 いやいや、花言葉まで知ってるのは充分詳しいに入るよ。私だってケイトがいなきゃこの花がスイートピーだって事にも気付かなかった。


「私、髪飾りとかアクセサリーとかが好きで……自分で作ったりもするので」


「まぁ、凄い!」


 確かに見た目からして裁縫とか得意そう……女子力と言うより主婦力みたいな、お料理とかも上手そう。

 でもこの学園でそんな見た目通りの人は少ない。貴族や、平民でもお金持ちの子息令嬢ばかりだから、そう言う事は使用人任せにしてきた女子力詐欺な子が多いのだ。

 私の場合は元々が特殊例だし……別に特別出来る訳でも無い。それでもこの学園では出来る方に入るだろう。

 あ、勿論マリアベルはからっきしでした。ダークマターすら作れない、まず食材に触れないレベルで女子力が枯渇してた。


「もしかして今日着けているのもご自分で?」


「えぇ、実は……不格好で恥ずかしいのですけれど」


「そんな謙遜なさらないで。とても可愛くて、売り物みたい」


 少し近付いて観察してみても、凄くよく出来ている。

 ステンドグラスみたいな蝶々の羽に黒い縁取りがしてあって、角度が変わる度にキラキラ光ってとても綺麗。これを中学生になったばかりの子が作ったと思うと、才能と言う言葉を感じる。


「髪飾り以外にも作ったりするのかしら?」


「そうですね、後はネックレスとか……」


 その後思った以上に会話が弾み、結局先生が来るまで盛り上がった。手芸談義から始まった話は途中から逸れて、最後の方はかなり打ち解けられたと思う、きっと。

 会話のきっかけをくれたグレイ先生に感謝しなければ。

 

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