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第四十四話 ぼっち脱却

 音楽室。実験室。美術室。

 道筋も確認しながら室名札を見る。何とも普通なネーミングだが行われる授業は魔法が絡んでくるので、名前通りの普通な授業ではないだろう。


 半分ほど見て回り、下校時刻も確認してまだ少し余裕があるな……と思った時、ふと思い出した事をケイトに訪ねた。


「そう言えば、クラスはどうだった?」


「……質問がアバウト過ぎない?」


「他に聞き様が無かったんだもの」


 本当は食堂で落ち合ったらすぐに聞こうと思ってたんだけど、サーシアと言う新キャラとグレイ先生と言うサプライズですっかり忘れてた。

 入学で、周りも同じ境遇の私よりも途中入学のケイトの方が緊張したんじゃないかって心配だったし……何よりケイトの学年には不安要素がデカ過ぎる人が揃ってるもんだから。あ、主に水色の方なんだけど。王子様はあいつと幼馴染だから関わりたく無いだけで単品ならそうでもないし。

 まぁその警戒理由さんの愛情が重すぎるで積極的には関わりたくないけど。


「別に……特別な事は何も。普通に自己紹介して、ちょっと質問に答えて、終わり」


「友達とかは?」


「俺の性格で初日に出来る訳ないでしょ」


 自分で言うなよ……とも思ったが、下手に追及するとブーメランなので止めておいた。


「隣の席の人とかとは話さなかったの?」


 こう言う場合一番友達になりやすいのは『隣の席の子』だよね、やっぱり。

 私の場合は隣がサーシアだったからなれなかったけど。サーシア自身は多分友達にはなりやすいけど、私としては遠慮したい。下手にフラグとか立てたくない恐ろしいから。


「あぁ、隣の席は王子様だったから。そんな気軽に話しかけられないし」


「っ……!!」


 さらっと爆弾投げつけてきよった。身構えてなかったからちょっと前につんのめったよ。

 ケイトさん、今、王子様とか言いました?

 え、それは超絶イケメンで、王子と呼ぶに相応しい容姿の男性の事ですよね。まさか本当に、職業欄に書けちゃう類の、リアルガチな王子様とかじゃないですよね。頼むから私に現実を直視させないで!

 何て、脳内でいくら願ったところでケイトには伝わらない訳でして。


「ルーナ王子、だっけ?凄いな、本当に王子様って感じだった」


「……うん、知ってる」


 会いましたし、喋りましたし、婚約者候補でしたし。あれから連絡ないから順調に候補から外されたんだろうけど。

 と言うかケイト、お前もか。私だけでなく幼馴染みまでも攻略対象とお隣さん。

 ネリエルの時は私が巻き込んだけど……いやグレイ先生もそうだった。ツバルはこれでもかってくらい愚痴って知ってるし。

 あれ、結構関わってる?主に私のせいで。


「と言うか、俺よりマリアでしょ」


「え?」


「友達、作らないと」


「……」


 ほんとストレートだなこいつ。幼馴染じゃなかったらクリーンヒットで大ダメージだったよ。

 長い付き合いだから、ケイトが純粋に心配してくれてるんだって分かるけど。


「俺は男だし、性格も知っての通りだからいいけどさ。マリアはそうもいかないだろ」


「本当に私の事を理解してくれていて嬉しいよ……」


 私もケイトも性格上そこまで友達関係に必死な方ではない。

 狭く深くが理想であり、気の合う数人の親友がいれば満足。ネリエルの時も、頼まれたからと言うのもあるがそれ以上に気が合ったから友人関係になれたのだ。でなければ引きこもりが改善されてきた後もお茶会を開いたりしない。攻略対象だし、面倒だし。

 しかしケイトはともかく私は面倒だからと悠長に構えている訳にはいかない。


 私とケイトの違い……簡単に言うと、それは身分だ。

 平民であるケイトと違い、貴族の私はコミュニケーションも必須能力だ。特に女である私は令嬢として社交界での処世術も大事な要素。


 そんな私が、中等部でぼっちとか……ちょっと問題。


「人の心配よりまず自分ね」


「はい……」


 『話くらいは聞いてあげるから』と慰め……られていたのかは謎だが、そうこうしている内に探索は終了して私達は二人並んで寮へと帰った。

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