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プロローグ

「……あ、もしもしー私ですけどー」


 なんだろう?どこからか女性の声が聞こえてくる。

 目が覚めたばかりのように頭が働かない…二度寝したいな…


『貴女ですか、どうしました?』


「先ほど送ってもらった分なんですがー

 受け取り先のミスでデータに欠損が出てしまいましてー

 終了後の返送が出来そうにないんですよー」


 ぼんやりとした頭で回りを見回す、どうやら何処かのマンションの一室のようにみえる。

 映っていない液晶テレビにテーブル、ソファーがありその奥にはキッチンが、俺の背後には大きな窓で空がみえる。


『えぇっ!!それは困る!』


「幸い今回は一斉に取り寄せた内そちらからの分は2つ有りましたんで、もうひとつの方にまとめて付けて送り返しますんでー」


 ソファーには赤い髪の女性がいて何処かに電話をかけているようだ。

 なぜか相手の声も聞こえてくる。男性のようだが酷くイライラしているのが声からわかる。


『仕方ないですね、今後は気をつけて下さいよ』


「すいませんでしたー………ふぅ」


 そういえば何故こんなところにいるんだろう?

 記憶が確かなら自分の部屋で寝ていたはずだ…誘拐か?

 いや、それはないな。こんな貧乏そうな大学生さらってどうしようってんだ。

 そうこう考えているうちに電話が終わったようだ。

 最後の方なんか相手がいないのにペコペコ頭下げてたし…OLなのかな?

 って危ないなぁ携帯をソファーに投げるなんて。

 落として壊れたらもったいないのに…いや会社用のなら別にいいのか?


「けっ、偉そうにマトモに管理もできないくせになーにが気を付けろだ。

 崩壊寸前なの助けてやってるのはこっちだっての……」


 それよりもとっさに受け止めようと手を伸ばしたよな?俺。

 なんで自分の手が見えないんだ?あれ!?さっきも首が360度回ったような…


「ん?気がついたのか」


 そこのお姉さん俺どうなってんの!?


「まぁ落ち着きな今のあんたは魂だけなんだから」


 魂って俺死んだの!?


「どこから説明したものやら……」


 もしかして神様転生ですか?テンプレですか?

 転生特典つきますか!?


「アホか死んでないのに転生とか特典とかねーよ。

 どちらかってーと召喚系だな」


 おぉぉ勇者ですね、わかります


「んーちょっと違うんだよなー簡単にまとめると

 うちの世界で勇者召喚

 魔方陣に異常

 肉体がバラバラ<今ここ

 ってとこだな」


 わぉ、バラバラですか。


「そ、バラバラ」


 ど、どのくらいの規模で……


「細胞単位で、しかも召喚場所がずれたんで森のなか。

 骨はのこってるがどうするよ?」


 Oh No……

 ってそれ死んでますよね!?

 しかも細胞単位でってまさかペースト状!?


「そ、見るか?結構グロいぞ?真っ赤な血だまり?に骨が一揃。

 とりあえず軟骨のおかげで骨は繋がってるのが余計に猟奇的」


 なんでテレビつけるんです?って…現場映るのかよ!?

 ひぃぃ予想異常にひどい…うっわー目や耳のとこからダラーって垂れてるし


「さて現状は理解できたか?続きを説明するぞ」


 あんまり理解したくないですが…


「まず召喚と言ったが厳密にはちょっと違うんだ。

 簡単に言うと元の君をデータ化したものをコピーしてこっちの世界に送るんだ。

 そのデータを元に再構築する。これが魔力的にも楽でな。

 そんな訳でお前の本体は生きている」


 えっ?データだけ送るんですか?

 普通に送った方が早くね?


「例えるなら日本からアメリカに書類をスキャナで取り込んで電子メールで送るのと直接エアメールで国際便に乗せるのくらい違うんだ。

 もちろんアメリカでは書類を印刷するから紙やインクは元の書類とは違うが内容は一緒ってなる。

 これにはメリットがあってな病気の持ち込み防止や電子機器等の転送制限、さらにはデータ改造によるチート付与。手続きの簡略化等々だ」


 ほうほう、それならデメリットは何ですか?


「まずこちらの世界での肉体の準備と送り返すときのデータの選別とエネルギーの付与って所かな」


 帰りもデータだけなのか…アイテム持ち帰るとかはどうするんです?


「元の世界の管理者に頼んで同様の効果のものを渡してもらうのさ。

 さっきの例えだとアメリカのキーホルダーを日本の工場で作って宅配だな。そのためのエネルギー付与だし」


 へー海外旅行に例えるとWebカメラでネット越しに見て回るのと、検疫等で予防接種して現地に行くのの違いですね。お土産は現地で買うか日本ので似たようなの取り寄せるか、みたいな。


「まぁ理解しやすいならそれでいいんじゃない。

 とりあえず召喚は理解したみたいだし次の説明するぞ」


 へーい


「次は何故お前さんの肉体が爆発してるのか、だが。

 これは召喚のための魔方陣の機能不全だ」


 あーお城なんかにある代々伝わる召喚陣が壊れてたと。


「そうだ、しかも詳細な資料もなしに移築しやがった。

 積層回路って知ってるか?」


 パソコンなんかに使われてるやつですよね。基盤だか回路だかが何枚も重なってるようなやつだったかな。


「そうだ、この魔方陣も似たようなのものでな。

 地下の陣で魔力を集め最上階の陣がアンテナ、メインの陣で肉体の構築や還すときのための情報の保存等、複数の陣を組み合わせて使うんだ」


 なんとなーく読めてきました…


「だろうな。

 お前の召喚先は王国の陣なんだが資料もなく魔方陣を移動させたうえに修復で使った魔石の欠片を魔方陣に残したまんま使いやがったんだよ」


 うへぇ


「不幸中の幸いと言っていいのか魂は無傷だからな、肉体が半分以下になったがあれだけ残っていれば取りあえずは魂は移せる」


 え?肉体の再生は?まさかのスケルトン!?そりゃないっすよあねさん


「仕方ないだろ再生しようにもデータの破損であの状態がお前の基礎だこれ以上治しようがない。

 あとあねさんはやめろ、昔を思い出す」


 すいませんでしたー

 あぁっ、体無いから土下座できねぇ!?


「まったく…話続けるぞ

 お前はスケルトンになるわけだが、アンデットじゃないし一応勇者でもある。

 さらに面倒だとは思うが魔方陣の修復も頼みたい。

 そう難しいことじゃない、こっちで修復用の魔法を付与するから陣に触れるだけでいいんだ。

 召喚後の魔方陣は帰還返送用になって基本召喚された本人にしか触れなくなるからな。」


 はぁ


「ちなみにお前の肉体があるのは王国王都から数百キロの森のなかだ。

 …ふむ、魔法を付与するのに肉体の容量がギリギリか…」


 あの状態の体に魔法つけたら肉片にも付きません?細胞を桶に入れて運ぶんですか?


「すでに細胞は死滅してるよ、まぁ混ざるといけないしな<大地よ>それと<水よ>」


 おぉっ地面が盛り上がってきれいな台座に…って。

 何ですかー!?大量の水が上からどざーって、あぁなんて丸洗いコレ…


「ふむ…<木よ>」


 今度は木が動いてる!?…あははは木って歩けるんだー……


「取りあえずはコレで天日干しにしてっと。

 次は改造…スキル付けるか」


 ひゃっほうチート来たー

 無限の…とか王の…とか後は超魔力で星を砕く砲撃とか狩りゲーみたいに大剣無双とか

 後は…えーっと……えーっと………思い付かねぇ、なにコレ俺ってこんなに貧相な想像力しか持ってなかったのか…


「さらに追い討ちだが今お前が思い付いたスキルなんて有りません、バーカ。

 コレとコレ…後はコレと」


 そこを何とかーお願いしますー


「無理だね。さっきも言ったろ肉体の容量が足りないって。

 付けれたとしても無限の…は鍛冶スキルつけれても材料関係で有限になるし…いや寿命がなくなるからある意味無限か?…」


 なにその残念スキル…ちなみに他のだとどうなります?


「王の…は中身のない倉庫な上スキルで持たなくてもアイテムバッグがある、普通の冒険者や商人なら誰でも持ってるな。

 魔砲とかは再現できるかもだがために時間が掛かりすぎてフルぼっこな上制御できずに自爆。ちなみにあの娘についてるスキルは収束だけだよ、他は自力でやってんだと」


 何で知ってるんです、つーかマジパネェ魔王さま。


「異世界間の交流くらいあるさ、神様レベルだけど。

 さすがに他の神もドン引きさ、なにあの男気溢れる鬼畜魔王」


 バトルして友達、バインドで砲撃…まんまですね。


「話を戻して最後の大剣無双は体格的にも無理だね。

 体重が軽すぎて武器を振り回すんじゃなくて振り回される。

 もちろん隙だらけだからフルぼっこ」


 あぁぁロマン武器もダメなんて…


「どうせ帰れないんだから向こうでとってたスキルは消して入れ換えるか…剣術、初心者以上初段以下…保留」


 部活動でしてました


「算術に理学…コレも保留」


 大学の専攻ですね


「大食い?変わったの持ってるね。それと電気工事士と童貞」


 大食いて…確かに食べる方ですが…

 つーか工事士って資格ですやん。


「おや、童貞は流すのかい」


 ニヤニヤしないでー同じように流してー


「ちなみにコレは外せないよ。おめでとう永遠の童貞さん。

 と、まぁからかうのはこのくらいにして今重要なこと言ったって解ってるだろ?」


 ……帰れないと永遠のって所ですよね。


「そう、帰れないは肉体の誤差が大きすぎるから。

 無理に帰そうとすると向こうの肉体が死にかねないから。

 永遠はこっちの都合なんだけどね、確実に魔方陣を直すためだよ。さっきも言ったが容量がギリギリだからね祝福として不壊コワレズを付けた。

 コレは私の創った世界にいる限り絶対に破壊されないってスキルだ」


 スケールがでかすぎて想像もできません…ってかお姉さんが創造神さまだったとかワケわからんし、それだと最初の電話の相手が何者だよってなるし……


「あぁアレ?クソ雑魚い管理神よ。宗教神上がりの。

 お前のいた世界の宗教の神様よ、どの宗教かまでは知らんけど」


 それにしては何か会社の上司相手にしてるみたいでしたよね。


「まぁアイツじゃなくてその上の創造神に恩があるのよ。

 元々は部下で管理神してたんだけど「センスあるねー創造神やってみない」って言われて独立したんだ、そしたら…」


 後がまがアレで上司の創った世界の管理してるから自分の方が上とか勘違いしてる系か…ご苦労様です。


「そうなのよ、あの薄らハゲ。偉そうにしてる割りに能力低くて管理しきれてないの、そのうちつーかもうそろそろあの世界崩壊するし。

 どうせなら他の宗教神選んだらよかったのに。

 当時は一番まともだったんだけどなー

 太陽神は亜人系で世界に合わなかったし

 天津神は世界の端っこが好きな変わり者だし

 ゼウスはハーレム主義だし

 北欧は崩壊系の神話で先がなかったし」


 さらっと個人名混ぜてますね。もしかして言い寄られたとか?

 あと地が出てません?


「いいのよ当時は何度か玉潰して殺ったこともあるし」


 ひぃぃコエー


「あんたは気に入ったから私の世界の管理神にする予定だし。そのための不壊コワレズなのよ。

 理解も早くてそこそこ賢く何よりバカじゃない。

 あんたの前に処理したヤツは頭のいいバカで理解力もなくてね、召喚じゃなかったら消し飛ばしてやろうかと思ったわ」


 そう言えば電話でも二人っていってましたね。

 そいつどんなチートを?


「あんたが思い付いたのとほとんど変わらないよ。

 ただ容量に合わせて劣化させたし、ぎっちり詰め込んだから新しいスキルも取れない。

 どうでもいいけど、すぐに死ぬんじゃないかな」


 …もしかして言語もスキルだったりします?


「当ったりー

 俺ツエーで俺のための世界とか考えてる…いやそれしか考えてないんだもん、気付けよって何度思ったことか。

 ちなみに結構な数召喚利用されてるから各国その手のヤツの対策マニュアルがあったりするんだなコレが。

 基本ゲスなのが多くて処刑されてるし。例えばハーレムくらいならOKだけどソコに洗脳系スキル持ってるとOUTになることが多いね、ハーレムに使ってなくても」


 厳しいのなこの世界


「そりゃね人類調整もしないと魂足りなくなるし、他所からの侵略って言っていいのかわからないけどモンスター沸くし…あ、モンスターが他世界産でこの世界の品種は魔獣か魔物だから」


 区別つくんですかソレ、つーか侵略とか大丈夫なんですか?


「問題ないよ相手の神とは和解済み。

 おっとスキルの定着もすんだみたいだね…って、あっ」


 どうしたんです?定着って言葉の感じからして違和感無く使えるようにしてくれたんでしょうけど…


「その理解で合ってるよ。ただ手順を間違えちゃった。

 魂を入れずに定着させたから肉体が変質して魂を入れにくくなった…再調整が必要だなこりゃ」


 だ、大丈夫なんですか!?


「大丈夫よ、ただ時間がかかるだけ。

 ちょっと電話するから待ってて……あ、ほのちゃん?今暇?って言うか時間開けて欲しいんだけど、…うん、そう重要な案件は私の名前で他に回して頂戴。

 でね、貴女には肉体の調整をしてほしいの。……うん、ごめんなさい、またやりました…はい、すいません。でも、…いや言い訳じゃなくてね?新しく管理神にする予定なのよ」


 なんと言うか、娘に叱られるお母さんって感じがひしひしと…


「ちょっとそこ黙ってなさい」


 はいぃ、すいませんですぅ

 どうぞ電話を続けてくださいませ。


「まったくもう…いや、こっちの話よ。でもほのちゃんが一番上手でしょ調整……まぁあの二人にさせるのが一番早いでしょうけど地上まで行かせる訳にもいかないじゃない。セィちゃんとシィちゃんの仕事代わりにしたいならいいけど…だよねー。

 うん、うん、それじゃ座標はみぃちゃんかつっちーに聞いて、さっき力使ったから知ってる…え?先にこっちの魂を見とくの?まだ調整中なんだけど…はい、ごめんなさい。口答えしません来るまでに調整終わらせます。……ふぅ」


 何かすごそうですね。


「普段はおとなしい娘なんだけど火がつくとなかなか消えないんだよねーいい娘なんだけど…

 さて、あの娘が来るまでに済ませときますか…取りあえずは寝かせてっと」


 神さまが両手をパンと一回合わせるが何も起こらない。

 どういう事だ?話の流れからすると寝かしている間に作業、麻酔のようなもんだとばかり思っていたのに何もないって。


「アレ?効かない…まぁいいか。

 じゃぁまずはっと…」


 よくないでしょ…って、痛っ、いたたたたなにコレマジ痛いって!!

 物理的に無いけど頭が割れそうに痛い!


「何か微妙に余裕あるね…じゃ続けるけど痛かったら手を上げてくださいねー、クスクス」


 痛いってば、それに今、手無いじゃん、上げれないって!!

 ギャアアアアア!?


「おまけコーナー始めるよー」


無茶苦茶だこの人……


「当分出番無いんだからいいじゃん。

今回は話のなかで出てきた宗教神のお話です」


あくまで作者のイメージだから本気にしないように。


「まずは太陽神、エジプト神話。ピラミッドで有名です」


亜人系とのことですが、まぁ見た目がね首から上が動物ですし

日本人より早いケモミミ……


「作者は神話の全編を読んでいませんので所々抜けてます。

太陽神ラーが他の神を取り込みアメン・ラーになったとかくらいです」


次は天津神、日本神話コレも一部有名


「コレも中途半端にしか読んで無いんですよね。

覚えてる限りで一番古いのが因幡の白兔なんです。

神話って言うより絵本や簡単な物語かな」


小学生の時に読んで蒲の穂ってスゲーってなり、さらに近くの池に生えていたもんだから取ってきてぶんまわして遊んでたと


「穂先が重くて何かにぶつけると簡単に折れるんですよねー

…って神話関係ないじゃん。」


作中では知ってる話のなかに他国に行った(侵略含む)がなかったので…基本日本国内のみの話ですから。


「そんな昔から引きこもり…いえ、鎖国体質なんですよね」


次に行こうギリシャ神話。コレも結構有名


「星座に関する物語や神々の話(嫌がらせ含む)がたくさんありますね。

作者が読みきった本ですし。

最近ではバーサーカーの人のお陰で一部有名ですが、作者的にはギリシャ神話はセイントの人が一番に思い浮かびます」


あとはヘラクレスのヒドラ退治かな。

死なないヒドラの首切って焼くところ、小学生にはインパクト強かったから今でも覚えてるとか、とどめがどうしても最後の首が死ななくてフルぼっこして埋めるってのも小さいながらにソレでいいのかって思ってた。

今になって思い返すとネタ的な意味でツッコミ所満載。


「最後の北欧神話ですが……ほとんど知りません」


有名どころの神の名前とラグナロクとか言う終末があるってくらいしか知らないんですよ作者。


「オーディン、ロキ、トール、スレイプニル…は神じゃないな馬だっけ?」


多分、つーか作品によっては同じ名前で別物とかあるし何となくでいいんじゃない?

気になるならググれ


「面倒だから代わりに調べといて。

今回はこの辺で終わりにしましょうか」


あ、はい


「それじゃ次回をお楽しみにー」


お疲れさまでしたー


……

今思うとゼウスのハーレム?ってヤンデレ込みだよな恐ろしい……


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