7話 響かない
「コイツ
どうしようかねぇ」
先ほど
食事を終え
すっかり忘れていた
怪物の前に立つ
「・・・・・・・・」
「気絶しているわねぇ
まあ
命に別状はないでしょうし
放っておいても
それなりに
強い怪物そうだし
ここに居る
同属達に
遅れは取らないでしょうねぇ」
そう言って
(終わったよ)
(はやかったわね
てっきり
一日ぐらい
暴れるものかと
思っていたわ)
(目的の物を奪ったら
そうしようかと
思っていたんだけどねぇ
取り引きしたのさ
陰陽師と)
(以外と律儀なのね
それに陰陽師と
取り引きするなんて
貴方らしくないわよ?
私の次は
貴方が
狂うのかしら?)
(狂う?
それなら
もう既に狂っているさ
お前よりも早くにねぇ
お互い様だろう?
お前に
言われたくは無いねぇ)
(あら?
所で
目的の物は
どうしたの?
見当らないのだけど)
(ああ
それなら
今頃
腹の中で
消化されている頃だろうねぇ)
(消化って
まさか
食べたの?)
(それ以外に
何があるのさ
食べたに
決まっているだろう)
(決まっているだろうって
一体何だったのよ
食べ物だったの?
その目的の物は?)
(んん?
お前達が
聖魔具と
言っている物さ)
(聖魔具?
聖魔具か
何の事かしら?)
(うん
今
お前がいかに
座学の時間
何も聞いてなかったのか
良く分かったよ)
(何十年と
同じよな事ばかり
聞いていると
飽きてくるのよ!
不変も大変なのよ
死も欲も
何も恐れずに
いれるけど
毎日毎日
どこかで
聞いたり
見たりしたような
事ばかり
はっきり言って
暇なのよ
嗚呼もう
また
腹が立ってきたわ)
(分かるわねぇ
その気持ち
私も昔は
不老だったし
幾ら
斬られ
焼かれ
潰されようと
絶対に死ななかった
いや
死ねなかった
だから
死ねない苦しみは
多少は
分かると
思うけどねぇ)
(多少って・・・
そうね
貴方の方が
私より
長く生きているものね
死ねない
苦しみは
私以上に
分かっているのね)
(いや
私は食べることが
いつまでも幸せで
あり続けていたから
そこまで辛いものでも
無かったけどねぇ
お前は
自分に具わった
能力によって
苦しめられているのさ
確か
不変の力だったねぇ
お前の能力は
魔とも気とも違い
何の代償も要らず
不老不死の力を得る
加えて
限界の無い体力
そして
尋常でない怪力
呼吸も
食事も
水も
必要としないから
どこでも生存可能
焼かれようが
煮られようが
まったく
変化しない
そんな体
ここだけを見ていると
良い事だらけねぇ
だけど
貴方には
欲が無くなった
正確には
分からなくなった
変化しないから
何も欲しない
欲は生きる活力だからねぇ
欲が無ければ
生物は死ぬよ
普通は
だけど
貴方は死なないから
生きている
幸せを感じれ無いのにさ
それはそれは
苦しい事でしょうねぇ?)
(貴方は
幸せを
知っているの?
なら教えて欲しいわ)
(無理だねぇ
お前は私じゃない
私はお前じゃない
それに
お前は人間だろう?
違ったかねぇ
私の幸せは
食う事だけ
食を必要としない
お前には
理解できないだろうからねぇ)
(これ以上
言い合っても
意味が無いわね
話を戻すけど
聖魔具って
何だったかしら?)
(はいはい
分かったよ
聖魔具は
同属達の
体で作られた
武器みたいな物ねぇ
もっとも
常人が扱えるのは
上級の怪物で
作られた物が限界
それ以上を
使おうとすると
どうも
武器に食われる
らしいよ
下段クラスの怪物は
少なからず知能を
持っているからねぇ
私が知っている
事はこれ位ねぇ)
(よく知っているわね
そんなに座学の時間
聞いていたの?)
(そ、そうねぇ
私は食べるだけの
怪物では無いからねぇ・・)
(そうね
見直したわ
で
何で食べたの?)
(・・・・・・)
(何で
黙るのよ
そんなに
言い難いことなの?)
極上の笑みを
浮かべていそうな声だった
(さ、さあ?
あ、ほら
家が見えて・・・
(髪の毛抜くわよ)
(すいません
自分の力を上げる
ためです
お願いだから
抜かないでぇ)
(そんな事だろうと
思ったわ
はぁ
どうしようかしら
最近
私の命令も
無視出来る様に
なっていたわよね
これ以上の自由は
危なそうね
私を超える力を付けて
しまったら
本格的に
全人類
いえ
全生物の危機ね
これからは
控えないといけないわ)
(ああ・・
私の自由がぁ・・・)
やってしまった感満載
声が消えていった
お読みいただき
ありがとうございました。