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人に非ず怪物に非ず(仮)  作者: 鳥ノ
0章 意味の無い日々
7/39

6話 変化

「・・・・・・・」

 驚きと恐怖で

 誰一人として

 声を出さない

準備(食われる覚悟)が出来た人から

 言ってよ

 直ぐに殺してあげるからねぇ」

「う、うああああああ」

 そう叫び

 逃げる一人の人間

「ま、待ちなさい

 今動くのは」

 ブシャァァァァァァ

 いけないと

 言った時には

「言い忘れたけど

 逃げようなんて思わない事ねぇ

 誰であろうと

 こんな最期は嫌でしょう?」

 遅かった

「・・・・あ・・あああ・・・」

 まだ辛うじて息がある様だ

「うわぁ

 腹に穴空けても

 まだ生きてるんだ」

 何処と無く楽しげな声でそう言った

「まあ

 死んで貰うけど」

 と言い

 瀕死の人間の

 頭に己の足を乗せ

「ばいばーい」

 バチャァァァァ

 踏み砕いた

 おびただしい程の

 血が

 肉片が

 赤が

 周囲を彩る

「さあ

 準備の出来た

 人は居るかしらねぇ?

 こいつよりかは

 楽に死ねると思うよ?」

 手に付着した血を舐め取りながら

 そう言った

(このままでは

 教会連合に関係の無い

 皆さんまで

 殺されてしまいます

 どうしましょう

 せめて

 関係の無い

 皆さんは守らねばなりません

 その為にはどうしたら?

 我々に勝ち目など無いでしょうし

 皆さんが逃げきれる

 程の時間を稼ぐことは

 私一人では出来ません

 しかしそれでは

 皆さんが逃げた先に

 別の怪物が居た場合の

 対処が出来ません

 この辺りは

 たしか

 夜行性の怪物が多く生息し

 昼行性の怪物は

 確認されていません

 もう日も傾き始め

 辺りも暗くなり始めています

 いったいどうしたら)

 そう考えを巡らせる

(そうです

 たしか

 聖魔具を欲していました

 聖魔具を渡せば

 私達は無理でも

 無関係の人たちは

 見逃して貰えるかも

 知れません

 私や聖魔具よりも

 皆さんの命を

 優先しなければなりません!)

「取り引しませんか?」

「取り引き?

 取り引きねぇ

 なら聞くだけ

 聞こうじゃないか?」

「私は貴方に

 私の命と

 聖魔具を差し上げます

 その代わりに

 皆を見逃して

 欲しいのです」

 祈るようにそう言った

「見逃して・・・か

 それは無理ねぇ

 お前と

 今殺した人間だけじゃ

 少しの腹の足しに成らないのよ

 最低でもこの場に居る

 全員以上の人間をねぇ

 それに同属の体(聖魔具)

 殺して奪った方が速いし

 何より腹も膨れる」

 無慈悲にそう言った

「そうですか・・・

 皆さんお逃げください

 ここは私が時間を

 稼いでおきますので

 ・・・・・

 皆さんどうかご無事で」

 続けて

「お前達は必ず皆さんを守り

 そして本部に連絡して下さい

 私は死んだと

 お願いしますね」

 不安を感じさせない声だった

「ふーん

 少しは骨のある人間ねぇ

 さっきは無視したけど

 良いわ

 気に入った

 同属の体(聖魔具)は貰う

 お前は殺す

 それ以外は殺さないわ

 確かそう言う取り引きだったわよねぇ?

 今からでも遅くは無いでしょう

 アイツには怒られるだろうけど

 仕方ないわ

 大サービスってやつねぇ」

「・・・なぜですか?

 先ほどは皆殺しに

 すると言っていましたが?」

「気分かしらねぇ?

 それに

 敬意を示して

 挙げたのに

 疑うのか?

 別に皆殺しにしても

 良いのだけどねぇ」

「いえ

 敬意を示していただき

 ありがたく思います

 聞いたかお前達早く逃げなさい

 それと

 本部への

 連絡ですが」

「別に

 良いよ

 連絡しても?

 そうしたら

 私が腹を減らす心配が

 無くなるからねぇ」

 そう脅した

「そうですね

 本部でも貴方のような

 強大な怪物を

 退治出来るほどの

 人員は一握りでしょう」

 恐怖を含んだ言葉だった 














「お前は勇敢だった

 自ら自分が

 死のうと

 食われようと

 言った

 だから

 敬意をこめて

 楽に死なせてあげるからねぇ」

 爪を陰陽師の額に向けそう言った

「お心遣い

 ありがたく思います

 貴方(怪物)にもその様な

 心があるのですね

 私などに敬意を示して下さるとは

 貴方様が人間であったら

 どれほど良かった事でしょう」

 と言い切った瞬間

 ドスッ

 深く突き刺さった

 凶器が

 一瞬で頭を貫通し

 勇気ある

 陰陽師の

 命は

 消えていった

「まさか

 私にこんな

 情があったとはねぇ

 人間ごときに敬意を・・・

 アイツが私に

 引っ張られているのと

 同じように

 私もアイツに

 引っ張られているのかも

 しれないわねぇ」

 一人の

 いや

 人だった物に腰掛け

 もう一人

 己が敬意を示した

 陰陽師を

 人間を

 食らいながら

 複雑そうな表情で

 そう呟いた








お読みいただき

ありがとうございました

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