表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【シリーズ】 13代目の破壊神

普段通りの自分

作者: 千路文也

 人の進化とは何なのか、私はふとした瞬間に疑問を感じた。それは私の友と闘いの日々を過ごしていた時の事。その頃の私は技術的にも未熟で彼の足を引っ張る事しかしていなかった。私の友は後に伝説となり、魔法界にその名を轟かす存在だったのだが、その時は無名も無名。


 そんな彼が私に教えてくれた事は男気だった。以前の私は軟弱者の三文字が良く似合う男で、何をやってもの駄目駄目の落ちこぼれである。そんな私に男として名を上げるためにはどうすればいいのかを、徹底的に学ばせてくれた。


 彼の教えは、今こうして役に立っている。私はとある組織の重要ポストに座している。それを可能としたのが彼の教えだ。


 しかし、彼の教えを学ぶ過程で大きな挫折を味わった。それこそ退化だ。進化とは真逆で、ひたすら自分が劣化して弱くなっていくような感覚。その感覚に耐えきれなくなり、何度も友人の足を引っ張った。だが、その度に友人は私を奈落の底から引きずり上げ、太陽を拝ませてくれた。そう、私は進化と退化を何度も経験したのだ。


 そういう今も退化する自分を感じている。故に私は思う。人間は退化と進化を繰り返して、やがて普通の自分に行き着くのだと。


 今は退化しているかもしれないが、私は知っている。この退化が終われば次に待ているのは進化。そして最終的には普通の自分が待っている事を。


 もしかすると、進化の最終地点は普段通りの自分かもしれない。劣等感も無ければ、昂揚感も無い。


 ありふれた自分。


 そして私は、そんな自分も嫌いではない。


 




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ