第七話 逃げ?これは作戦です、ハイ
どーも~♪私こそ七人目・・・・・・ではなく、なんと初めに戻って久本です。
何故七人目ではないのか、まあ、それについては・・・・ちょっとしたごたごたがあったりするわけでして。
しばらくは上の六人で回していくことになると思いますが、どうぞご了承ください。
それではクラディー・ウェルによる第七話、どうぞ。
「すみませーん、今晩ここに泊めてほしいんですが」
あ~・・・・・・結構混んでるなぁ・・・・部屋、空いてるかなぁ?
そんなことを考えていると、脇のテーブルからいきなり、
「お前は、さっきの!」
怒鳴られた。てか誰?あのやたらと怖い顔でいらっしゃる人はどこのどちらさんですか?
「おう、てめえかその用心棒ってのは!」
「見ててくれ、こんなガキはアンタが手出しするまでもねぇぜ!」
「だから誰ー!!?」
いや、ホントに覚えがないからね!?あ、もう威勢よく立ちあがった方の筋肉馬鹿A&B(仮名)なんてやる気満々だし。わ、こっち来た。あの人たち、『人の迷惑』って言葉知ってるのかな?それとも、単に酔っぱらってるだけとか?ただ、どっちにしろ――――――――――
「オラ、覚悟しr―――――グブッ!!!?」
「テ、テメエいま何しやがっ―――――うおわっ!!?」
――――――――――どっちにしろ、売られたケンカは買っとくけどね。ちなみに今やったのは、Aのほうに肘鉄を軽~く喰らわせて、その勢いで同じ方向にいたBの胸ぐらをつかんでから背負い投げの要領で床に叩きつけただけ。とはいえ、完全にノビちゃってるのを見ると少しやり過ぎたかもしんないかも・・・・・まあ、骨は折ってないはずだからいいとは思うけど、ね。
「良かった~・・・・んじゃ改めて、部屋空いてますか?」
さ、今度こそ何もないだろうね。明日も色々やりたい事あるし、今日は早めに寝ようかな・・・・・・
「お前・・・・・!」
あ、そういやまだ本命が残ってたんだった。うわー忘れてた!
「ごめんごめん。許してねっ!」
「は?・・・・・まあいい、さっきの借りは返させてもらうぞ」
「ん?やっぱり知り合い・・・・だったかなっ?」
あ、なんか怒った。どうも聞いちゃいけないことを聞いちゃったらしいけど・・・・・何がまずかったんだろ?
「ちょ、ちょっと待って待って!やっぱりホラ、こんな所で喧嘩したら店の人に迷惑だよ!?女将さんなんかすごい顔してこっち見てるし!うわ、煙出してるフライパンなんか構えないで!!ソレ絶対危ないって!!」
「・・・・・なら、外に出るか?」
「え~、だってもう夜で暗いしさ、お腹減ったからヤだ・・・・・・・・なんて言うわけないでしょ!じゃあ今から外行こっか!!だから落ち着いて!」
怖い!この人目が怖いよ!!はぁ・・・。
~五分後~
「で、何でまた急に喧嘩なんて吹っ掛ける気になったの?暴力沙汰はあんま好きじゃないんだけど」
「とぼけるな。仮にお前が何も知らなかったとしても、話ぐらいは聞かせて貰うからな」
「・・・・・・・ごめん、いま会話のキャッチボールが出来てなかったような気がするのは気のせい?」
「・・・・・・・ッ!!」
おっ、と・・・・!呪文抜きでいきなり飛んできた雷を見た瞬間、一発でピンときた。この人・・・・・!まあ、とりあえず防御か。片刃の愛刀を抜き、まっすぐ飛んでくるソレをまっすぐ切るような感覚で刀身を叩きつける!
バシュウウウウウゥゥゥ!!!
何かから空気が抜けるような小気味いい音と共に、剣に吸い込まれる雷。
「何!?」
ははっ、驚いてる。まあ無理もないか。いまだに使い手の僕も仕組みがさっぱり分からない、魔法吸収の効果を持つ魔剣――――――――――《不屈》。
「無駄だよ、僕に魔法は効かないから」
少なくともこれがあれば、だけどね。
「そうか、なら魔法は使わない。素手でやるまでだ」
残念・・・・なかなか切り替えの早いタイプらしい。うん、実際この人は強い。身のこなしを見てる限りでは体術も相当使えそうだし、真正面からぶつかりたいとは思わない。ここは一つお得意の手で、お茶を濁して終わらせてやるとしますか。
「しょうがないな・・・・・必殺」
「ん?」
「――――――――――天空切りッ!!」
言いざまに相手に近づき、それと同時に剣を振り上げる。その『剣を振り上げる』という動きと、何より寸前に聞いた『天空切り』という名前そのものにつられ、ほんの僅かに注意が上半身に集中する。そしてそこからの―――――
「でやっ!!喰らえローキック!!」
「ぐッ!?」
正確に向う脛を蹴り飛ばすっ!痛みで一瞬ひるんだ所をそのまま、
「へへっ!それじゃね~!」
手早く逃げ出した。後のこと?そんなの知りません。
~10分後~
ふう・・・もう逃げ切れたかな?全く、ずいぶん遠くまで来ちゃったよ。結局、今日はどうしよう?さっきの所まで戻って泊まり直してもいいけど、まだいるかもしれないし、同じ手は効かないだろうし・・・・。
と、そこで一つ看板を見つけた。赤く光るランタンと、その脇に大きく書かれた『紅き騎士クプリュス』の文字。何というか・・・・・・・こう・・・ネーミングセンスが微妙に間違ってますよクプリュス(仮名)さん・・・・・。
とはいえ、こんなところで酒場が見つかったのも何かの縁かもしれない。泊めてくれるか聞いてみよっと♪
カランコロン♪
「いらっしゃいませ」
外見とは違って、中は予想外にすっきりして落ち着いた雰囲気だった。マスターに質問した瞬間、一人だけいた客が振り返った。
「えっと、すいません。今晩だけでも泊めてくれませんか・・・・ってあれ!!?な、何で君がここにいるの!!?」
「また貴様か!」
そこにいたのは、ついさっき足蹴り飛ばしてほったらかしといた少年だった。うう・・・こんなオチがあるなら入らなきゃよかった!
どうだったでしょうか。念のため補足すると、クラ君だって毎回あんな事ばっかやってるわけじゃありません。今回はたまたまですって、ね!