第二十一話 さよーなら?
☆つなまよ☆です。
無駄に長いっすwww
自分的にあまり好きじゃない文体になってしまいました……(´・ω・`)
何としてでもボクは昨日の優男やらなんやらと関わってはいけなかった。絶対に、あの時蹴飛ばしてでも逃げ出すべきだった。
朝起きれば庭で戦闘が勃発してるし、なんかよく分からない男 名乗らなかったので名は分からない がクラディーの振りをして現れるし。そのクラモドキと不思議少女の会話が全然噛みあってないしクラモドキには女の子って見抜かれるしまじでもうめんどくさいってゆーか危ないってゆーか。
一番は困るのは、あいつらといれば知らず知らずのうちに会話をしてしまっていること。
声を発すること、それを極力避けてきたボクにとって、自然に喋ってしまうことは、怖かった。
初めは、声が完全なソプラノロリボイスだから、女の子であることがばれないように話さないようにしていただけだった。ひたすら沈黙を守っていると、いつしかそれが当たり前だと思うようになってきた。旅の中で、うっかり喋ってしまったために悲惨なことに巻き込まれた人をたくさん見た。そうするうちに、話さないことが正しいことだと思うようになってきた。他の人には、どんな情報も与えない。それを自分の身を守る術として、ボクはここまで旅を続けてきた。
それが、昨日のあいつらと関わり始めた途端これだ。どうでもいいことに反応してしまう。いつ漏らしてはいけないことを漏らしてしまうか分からない。
危険
あのよく分からないクラモドキとやらの忠告を、(癪だけど)聞くのが賢い選択だと思う。
というわけでボクはこの宿から出ていくことにした。いや、この町から出て行こう。元々、此処に来た理由はこの店の店主にペンダントを渡すことだったんだ。今すぐにでも渡して出て行こう、いや、逃げ出そう。この厄介事から。
―――――――十分後。
急ぎ旅装を整えて酒場に出る。一刻も早くここから出て行きたかった。周りにあいつらがいないことを確認し、店主を呼び出して勘定を済ませる。もう自棄になって、向こうが気付いてくれるまで待つなんてまだるっこしい事はしなかった。それから運悪く(こんなのを拾わなければ、こんな事態には陥らなかった)拾ってしまったペンダントを店主に見せた。
ペンダントを見た店主の反応は微妙だった。困ったように微笑んでとりあえず受け取ったが、どうしていいか分からないようだった。ボクにとっては知るか、なんだけど。店主はボクにちょっと待ってね、と言ってから、厨房に入ってお弁当を取ってきた。お礼に弁当をおまけしてくれるみたいだ。
宿を出るときに、ルノーラを見かけた。ルノにこっちを見られた気がするけれど、まあ特に問題はない。とりあえず、物資を調達しに市場に向かうことにした。
商業都市と言うだけあってランギルには様々な商人が集まってくる。市場は他の町と比べ物にならないほど大きく、品数も多い。今すぐランギルを飛び出したかった筈なのだが、やはり根は女の子だ。こんなに多くの店を見て、みすみす素通りするなんて不可能だった。あちらこちらの店を物色してみる。あ、これ可愛い。値段は……。ああー、どうしよ。あ、あっちも良い!なんて色々な葛藤を抱えつつ、市場を練り歩く。
ふと人ごみの中に、特徴的な赤い髪が覗いた。何かに引っ張られるようにすぐに人ごみに紛れたが、もしかしてサージャだろうか。見つかると面倒か?と思ったけれど、よく考えるとあいつらがボクを探す道理なんてない。特に問題はないだろうから放っておくことにした。
「ジェン~!!何してんの~?」
そして「やっと見つけたっ☆」という声を聞くまでは、放っておくという選択は間違っていなかった筈だった。この呑気な声はあいつに違いない。見られたのがまずかったか、と後悔しても遅い。ボクは無視して足を速めることにした。
てくてくてく。後ろからペタペタと足音がついてくる。二人分だろうか。
「ジェンー?おーい。」
しきりに声が聞こえてくる。
知らない知らない。ジェンって誰だろーねー。本当にボク、ジェンなんて名前じゃないですので。
そのまま歩いてゆくと、気がつけば市場を抜けていた。このまま行けば関所にたどり着く。と、そこで肩を掴まれた。くるっと後ろを向かされると、ニコニコ笑顔でボクの肩に手を掛けるのルノと、仏頂面のサージャが見えた。
「ジェンっ、何してるの?」
再び同じ問い。ボクは口を開く、と見せかけて身を捩って逃げだし、走った。すぐにサージャに手を掴まれた。捕まった……。逃げられない。
「ジェン?なんで逃げるの??」
ルノが無邪気に聞いてくる。ボクは答えない。
「教えてよ~。」
いくら懲りずに聞かれても無視する。
突然―――。サージャから濃密な殺気が放出された。一瞬『ボクにキレたのか?』と思ったが、どうやら違ったらしい。サージャの視線の先には、こっちを向いている金髪男が、同じく殺気を放出しながら立っていた。これだけ明確に喧嘩を売られたら、買わない方が稀だろうが……。
チャっ、という音がする。見れば二人とも愛剣(サージャは薙刀、ライトは刀だが)の柄に手を掛けて(握りなおして)いる。ここでやるのか?!まぢで?朝からだけど、こいつらの間に何があったんだ?仲間じゃなかったのか??刹那――――
ライトが立っていたところにぱっと土が舞った。キーンという金属同士が打ち合う澄んだ音が鳴る。ライトが手を出したのだ。当たり前のように応戦するサージャ。音速で打ちおろされ、突き出される日本刀。薙刀は日本刀を受け流し、押し返し、確実にライトの急所を狙って生き物のようにうねる。それをライトは華麗な足捌きで避け、そのまま大きく相手に向かって踏み込んだ。
どちらも速い。しかも一つ一つの動きに華がある。ふっとボクは、ある人を思い出した。凄く強くて、速くて、なにより美しい戦い方をする人。二人の戦いぶりはなんとなく、その人を彷彿とさせた。
そこまで思ったときに、ボクは思わず行動を起こしていた。つまり
「縛」
二人に向かって走り出すと同時に、短い呪文を叫び、触媒となる魔法石を投げたのだ。ちなみに触媒無しでも魔法は使えるものの、触媒を使えばいちいちルーンを全て唱える必要がなく、起動ワードを唱えるだけで魔法が発動する。
魔法の効果で二人の動きが一瞬止まる。その隙に二人の間に割って入り、それぞれの手から武器を叩き落とした。
「はい、そこまで。何があったか知らないけど、こんなとこで物騒な物振り回すな。」
ボクが静かにそう言うと、二人は明らかにムッとした表情を浮かべた。が、ちらりとルノを見たサージャがすっと殺気を消し得物を拾い上げると、ライトも渋々ながら殺気を消した。
双方が殺気を消したところで、ボクはくるっとルノの方に振り向き尋ねる。
「どうしてボクを探していた?」
「うーん……。なんでだろうね??」
ずこっ。分からんのかいっ。
「じゃあ、ボクを探さなくてもいいだろ。」
至極まっとうな意見だと自分でも思う。が、
「だめっ!絶対駄目なの!!!」
ルノのすごい剣幕に気圧されてたじろいだ。
「ど、どうしてだよ。」
少し混乱しながら訊き返すが、言った本人も驚いているようだ。きょとんとしながら、それでもはっきりと
「よく分かんないけど、駄目なものは駄目なの。」
と言い切った。さらに
「一緒に宿に戻ろう、ね?」
とまで言われる。意味が分からないと思ったが、ボクがさっきの戦闘を(貴重な石を使ってまで)止めたのは、こいつらともう少し一緒にいても良いと思ったからに他ならない。いや、一緒にいたいと思った。離れた方が身のためだとは分かってはいる。しかし。
ルノに手を取らると、ボクは半ば引きずられながらも逆らわずに進み始めた。
魔法石についてはまた補足しようと……。
自分でもよく分かってないのでww
ではまた次回☆