表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RAINBOW!~wanders of comet~  作者: 七須木雨人
集まる虹、揃う虹~商業都市ランギル~
10/28

第九話(*) お願い

はい、玖龍です☆


みんななんでそんなに上手な文が書けるんだ……!と苦悶しております←


ちなみに今回は挿絵つきです(……期待しないで)

(*)は「挿絵つき」という意味です。。

 「え……?」

 ルノーラが思わず声を漏らす。


 2人の視線の先には、まだ10歳にも満たないような男の子がうずくまっていた。

 その身なりはとてもみすぼらしいもので、あちこちに傷もある。……貧窮に耐えかねて、どこかから逃げてきたのかもしれない。

 そんな男の子は2人と目が合うと、「ひっ」と怯えたような悲鳴を小さく上げた。


 どうやら泣いていたらしい。その証拠に眼のまわりが真っ赤に腫れている。


 そんな彼に慰めの声をかけるでもなく、サージャは彼を冷たく見下ろしていた。

 「ルノ。帰れ」

 「え?なんで??だってこの子泣いてるよ?」

 徐にサージャがルノーラの方へ首を回らす。シニカルな視線を送るためだ。

 だから何?と言いたげなその眼に、ルノーラはさらに首をかしげる。

 「どうしてあたし帰らなきゃいけないの?というかサージャ、この子に何の因縁が?」


 ――完全無視しよう


 サージャはそう心に決めた。


 再び男の子の方へ向き直る。

 しばらく見下ろした後、静かに口を開いた。

 「おまえ……さっきの見ただろう?」

 さっきの――サージャが男2人に絡まれた、というアレだ。


 男の子は何かを察知したのか、急いで首を横に振った。

 そしてよろよろと立ち上がる。

 「お姉ちゃん……強い?」

 しかし無視。

 「僕ね……お姉ちゃんにお願いがあるの……」

 さらに無視。

 「ママを助けて……!」

 挿絵(By みてみん)

 ……?


 「あのね、ママがね、知らないおじさんたちに連れて行かれたの」

 「……泣くなよ?」

 サージャが言うと、途端に男の子は泣き始めた。

 「ママぁぁぁぁ!!マーマぁぁぁぁ!!」

 「……ちっ」

 サージャは足早にその場から立ち去ろうとした……が、ルノーラに止められた。

 「ほらぁ、サージャ、泣かせたらダメじゃん」

 「ルノ。おまえが相手してやれ」 

 ――私はガキが苦手なんだ。特に泣いている奴とかな、とボソッと言うと本当に遠くへ行こうとした。



 が、今度は男の子の方に阻まれた。


 というか抱きついてきた。


 「!!」

 「お姉ちゃぁぁん!お姉ちゃんはさっき怖そうなおじさん2人をやっつけたでしょ?ママを助けてよぉ」

 「……離せっ!!」

 急いで払いのける。少しも力を入れなかったが、それだけで男の子の小さな体は地面に叩きつけられた。

 ……そして案の定、火がついたように泣き出す。

 すると、ルノーラがすかさず抗議する。

 「もう!!サージャ、もうちょっと優しくできないの?」

 普通はここで罪悪感を感じるべきなのだろうが、そんなの一切受け付けないサージャ。

 平然と立ち去ろうとする。


 だが、立ち止まった。



 『ママを助けて』という悲痛な声が頭から離れない。


 思い出したくない記憶……重なる自分を見つけた。


 仕方ない……と、心の底から渋々思った。


 

 一方、面倒見の良いルノーラは男の子を優しく介護していた。

 ゆっくり立ち上がらせると、服に着いた汚れを払ってやり、普通に慰めた。

 その子が落ち着くと、話を聴き始める。


 「あのね、ひぐっ……ママがね、怖いおじさんに連れてかれたの、ひぐっ。それでね、ママがね、喋らなくなっちゃってね……」

 「そっか……怖かったね。でも、大丈夫!私たちがなんとかして、ママを助けてあげるよ!!」

 

 「その必要はない」


 ルノーラの宣言をぶっ壊す発言。

 「小僧の母親の気は……自由に移動している。小僧の記憶(・・)によると、こいつの母親は奴隷として捕まった。奴隷は秘密裏に西の商業都市ランギルに運ばれる……だが、固まった人間の気は感じられない。あれだ……ギルドだ。やつらが解放したのだろうよ。こいつに似た人間の気は微かに感じられる。だが、ランギルとは逆方向へ向かってるぞ」


 私としたことが、よくこれだけ長々と喋ったものだと呆れてしまった。


 そう言うと、男の子は恐る恐るサージャの顔を見た。

 「ほ、本当?ママは大丈夫なの?」

 多分な、と素っ気なく返すと、急いで彼から目を離した。


 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 「じゃあ、お姉ちゃんがお家まで送ってってあげるよ♪」

 「うん!」

 すっかりルノーラに懐いてしまった、男の子は楽しそうに彼女のまわりをうろついている……なるべくサージャの方には近寄らないように。


 「ねぇ、サージャ?サージャも 一緒に来るよね?」

 ふるふると首を横に振る。

 「あ、そう……ってええ!?」

 なぜそこまで驚くか……かなり疑問だが、敢えて無視。

 「じ、じゃあどこ行くの?」

 「ランギルへ」

 「なんで?もう奴隷はギルドが解放したんじゃないの?」

 はぁーっとため息をつく。


 おまえに教える気はさらさらないんだよ、と目で伝える。伝わるはずもないのだが。


 「小僧は任せた。先に行ってるから後から合流しろ」

 「……なんで命令形?」

 それには答えず、すたすたと歩いて行った。


 ――あの男の子の記憶……

 泣きじゃくってる子供の話など聞きたくなかったので、覗かせてもらったのだが、その中に気になる人物を見かけた。


 どう見ても商人風ではない男。

 黒目黒髪の優男。

 あいつは何者なのか……


 それを確かめるべく、サージャはひとりランギルへ向かった。

本文中の『記憶をたどる』というのは、アレです。

透視です。。


こんなこともできるんですね、サージャって(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ