お嬢様、窓際族に憧れる
ショートショートです。
「な、なんですの? この『窓際族』というのは?」
東の島国のことを書いた本を読みながら、わたくしは悲鳴を上げた。
知識を広げるために本を読むことは大切だ。
こうやって意外な事実に出会える。
「う、羨ましすぎますわ!」
重要ではない仕事をして時間を潰し、席は景色を楽しめる窓際。それでお給料がもらえる。
素晴らしい。パーフェクト。
これこそ、わたくしが目指す理想郷ですわ!
「お嬢様、あまりおかしなことをしないでくださいね」
侍女が呆れた声を出す。
本を読んでいないから何を羨ましがっているか知らないくせに、そんなことを言う。
昔からの付き合いなので、「また何か変なことをやりだすかも」と警戒されているのだろう。
「社史編纂室への異動が左遷ですって。歴史をまとめるなんて、希望して行きたいですわ」
ふむ、それで暇になって不倫をするのね。
羨ましいお話の中に、「二十四時間戦え」という不吉な文章もある。出世争い、足の引っ張り合いとなかなか好戦的だ。
独自の文化を育み、勤勉な民族だったという。
「行ってみたかったわ」
本をテーブルに置いて、お茶に手を伸ばす。
「そうですね。滅んでしまったのが、残念でなりません」
「あなたはアニメの聖地巡礼がしたかったのでしょう?」
「はい。萌えたかったです」
――穏やかな昼下がりの会話である。
不安になるニュースが耳に入るので、コメディに変えてみました。




